関西発・地方創生とマーケティング #18
「社員であることは半分、辞めることにした」シャープさん
タイミングは、世間にあわせる
ツイートする内容は、予定を決めないようにしています。
たとえば、エアコンの発売日はあくまで会社の都合ですよね。それに合わせてツイートしてほしいと求められますが、そうはしません。エアコンの発売をお知らせするのは「今年初めての真夏日」など世間の都合に合わせてツイートします。そうしたほうが、反応が全然違うから。そう言う意味では、計画的かもしれません。
それと、会社情報だけで毎日ツイートするのなんて、コミュニケーションとして相当厳しいですよね。八百屋さんが常連さんと世間話をするように、会社と関係ないこともしゃべる。だいたい話を聞いてもらおうとするなら、自分を差し出さないと人は反応してくれません。これはコミュニケーションの本質だと思います。
共感という感情が欲しければ、自分が感情を差し出さなければ返ってこないですよね。感情をどう差し出すかをじっくり考えるべきで、そのひとつが「個人的だと思われるようなことを言うこと」だと僕は思います。
フォロワーとの距離感のとり方
親しみを持ってもらうために、フォロワーとの距離を縮めることは大事ですが、商売していることを忘れてはダメです。このイメージも、八百屋の軒先でしゃべる感じです。あくまで商売人としての私。勤務中の私です。
Twitterを始めたばかりの頃にフォロワーからのリプライの内容として想像していたのは、製品の使い方、クレームでした。でも、実際は「買いました」というリプライがたくさん届くんです。面白いものだなと思います。
そして、それに対して私は必ず「お買い上げありがとうございます」と言います。
今までメーカーは製品をつくっていながら、買っていただいた人に対して直接お礼を言えませんでした。もう何十年も、お客さんにお礼を言ってきたのは量販店の人でした。でも、今はTwitterを通して直接お礼を言うことができます。
「ありがとう」と言えるのは、なかなかのものです。SNSが企業あるいはマーケティングにもたらした最大の革命は、直接お礼を言えるようになったことだとすら、私は考えています。
おまけ
さて、ここからは少しだけ能川がしゃべります。こうしてシャープの中の人である、山本さんに話を伺った後で、私がTwitterを開けてみると。
そして次の日。
さすがです。
「シャープさん」の多様なツイートに対して、お客さんそれぞれが共感するポイントは違います。そういう意味ではお客さんそれぞれに、それぞれの「シャープさん」がいるのかもしれませんね。
最後に。今回、お話を伺って一番心に残ったのは、数年前に辞められた同僚の方についてのお話です。
山本さんも63万人ものフォロワーを抱えて順風満帆に見えますが、やはりひとりでここまで来るのは、そして続けるのは大変なことだと思います。そして、それが実現できたのは、その初期の段階を横で見守ってくれた同僚がいたからではないかと思いました。
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