ニュースと体験から読み解くリテール未来像 #20

有名テクノロジー企業も多数出品。米国発b8ta 北川卓司・日本代表に聞く日本進出の勝算

RaaSである「b8ta」のビジネスモデルと強み


郡司 アジェンダノートの読者の中には、まだb8ta自体の強みやビジネスモデルを理解していない人もいると思います。改めて、教えてもらえますか。

北川 
我われが掲げる「RaaS(リテール・アズ・ア・サービス)」という言葉に、馴染みのない方も多いと思います。

RaaSとは簡単に言えば、「実店舗のサブスクリプションモデル」。b8taのミッションは、リテールを通じて人々に“新たな発見“をもたらすことです。メーカーから月額の出店料をいただき、我われは店内の天井に付いているカメラや什器のデバイスを使って行動データを集めます。

商品が売れた場合もマージンはもらわず、売上は全てデータとともにお戻しさせていただいています。そして、エンドユーザーのお客さまに新しい発見や体験を提供させていただくという流れです。
 
米国b8ta店内。「店内はクリーンでブランドイメージを崩さないようにしています。出店企業は、GoogleやDEVIALETなど大きな企業も多いです」(北川氏)。

郡司 なぜ、そういうモデルを採用したのでしょうか。

北川 
もちろん購入前に商品を体験したいというお客さまの声がありスタートしたのですが、メーカーのチャネル展開の課題を解決したいという面もあります。

メーカーの主要な販路は、量販店や百貨店、テレビショッピングに加えて、自社のECサイトや直営店などになります。その売上の比重を見ると、多くは量販店になります。

それが悪いわけではないのですが、メーカーからするとブランディングが難しいんです。その理由はいくつかあります。まずは、価格のコントロールができないこと。さらに、ブランドが訴求したい点と違うコミュニケーションが店内で行われてしまう可能性があります。

売上に対するマージンの問題もあります。販売量を増やそうとすれば、最終的なマージンも増えますし、そこに什器代や販売のトレーニングのため人件費もかさばっていきます。そして、量販店から顧客データが開示されないという状況もありますよね。

郡司 b8taであれば、解決できるというわけですね。

北川 はい。メーカーはb8taのオンライン・プラットフォームから、売場のデバイスに掲載している製品概要や画像、動画はもちろん価格までリアルタイムに変更できます。

例えば、朝から雨が降り始めたので「雨の日セール」といったキャンペーンをブランド側で自在に実施できます。このように、ブランド側で自由にコントロールできるのです。

また、先ほどお話したように掛かるのは場所代だけで、マージンはゼロ。什器も基本パッケージを使用していただければ、費用はかかりません。ただし、エクスペリエンスルームという半個室を使う場合、什器の持ち込みや壁面装飾の費用をいただいています。

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