ニュースと体験から読み解くリテール未来像 #23

なぜ「商品を売らない姿勢」が大切なのか。今夏、日本進出 b8taが明かすビジネスモデル

 

出品者はどのスパンで変わるのか


郡司 2018年5月と2019年2月にシアトルのユニバーシティビレッジ店に行ったのですが、6~7割が同じ商品が並んでいて、ビジネスモデルからすると少し驚きました。

米国では1200~2000ドルと安くない金額を取っているので、数カ月だけ契約して反応を見るケースが多いと思っていました。年契約と月契約では変わってくるのでしょうか。

北川 
米国の契約形態は参考程度で聞いていますが、現地のパートナーごとに展開しているため詳しくはわかりません。日本では、例えば2区画借りてもらったら、その分の契約期間や価格を調整するといったことは、もちろん検討しています。なので、長く借りていただいた場合、その分の料金が下がるメニューもあると思っています。

スタッフのトレーニングが必要ですので、店内の製品を頻度高く変えてしまうとオペレーションが難しくなります。基本的には6カ月など、決まった単位で契約いただきたいのですが、どうしてもという場合はご相談も可能だと思っています。

郡司 私がプロダクトオーナーだったら、1日1000人が来店しているb8taの店舗があったとして、そのうち新しい人はどのぐらいいるのかを気にすると思います。

月間3万人来てもユニークユーザーは2000人であれば、同じ人ばかりになります。何回も触ると価値が分かるプロダクトならいいですが、そうでない場合は、どのようにお考えですか。

北川 
出品をご検討いただいている企業で、すでにリターンレート(再来店率)を気にされている方はいらっしゃいます。現状は測る術がないので、フィードバックとして米国に戻しています。



郡司 それをやろうとすると、プライバシーの問題も大きくなってしまいますよね。要望としては出ると思いますが、なかなか難しい課題ですね。ところで、サンフランシスコの店舗に行ったとき、Googleとコラボレーションして大きな展開をしていました。他にもやっているのでしょうか。

北川 
そうですね。最近だとBMWもそうですが、ベッドも展開しています。あとはエクスペリエンスルーム系がいくつか。寝ている人の体温に合わせて、自動的に温度調整ができるベッドも面白かったですね。



郡司 米国と日本では、方針や方向性の違いはありますか。

北川 
ビジネスモデルは一緒です。ファウンダーと話していますが、日本の場合は、ある程度私に任せてもらえるとのことで、より良いサービスや体験を訴求できるよう、ローカライズしたサービスも出していきたいと思っています。

日本ではb8taの認知度がまだまだ足りないため、出品者を募るところを全力で頑張っていこうと思っています。
 
■筆者の考え

ダッシュボードを見せてもらいながら、店内のどこにプロダクトを置くかという決定要因を聞きました。

私は入り口付近など、人が多く通る箇所は高い料金を取るモデルを想定していたのですが、全くの間違いでした。

エクスペリエンスルームを除外すると、店舗での配置は店舗ごとにいるマーチャンダイズのマネージャーが決定し、来店客にとって全体最適が行われるようです。

シアトルとサンフランシスコの2店舗で配置がまったく違っていた理由が理解できました。店舗で置いている商品も異なりますし、いわゆる金太郎飴型チェーンストアではないわけです。

郡司 マーチャンダイザーが店内のどこに商品を置くかを決めるという話がありました。出品されるプロダクトによってb8taの店舗体験に影響を与えると思うのですが、商品によっては、出品を断ることもありますか。

北川 
基本的には自分たちで選別しないというルールを持っています。イノベーティブな商材を置いていただきたいという気持ちはありますが、その間口を自分たちで狭める必要はありません。

もちろん他の出品者や来店者が不快に感じたり、純粋にディスプレイできない形状だったりする場合は、お断りするケースもあるかもしれません。

それに、人によって発見や体験は違いますよね。海外から来た人は、日本の工芸品が新しい発見になりえたりします。今回、店舗を良いロケーションに出させていただけるので、色々な方に来てもらえると思っています。
他の連載記事:
ニュースと体験から読み解くリテール未来像 の記事一覧
  • 前のページ
  • 1
  • 2

マーケターに役立つ最新情報をお知らせ

メールメールマガジン登録