ニュースと体験から読み解くリテール未来像 #24

買い占め対策。品薄の「マスク」をドラッグストアの優良顧客にだけ販売する方法

 

2.    店員の判断に任せる


 これも簡単な手法です。当日勤務しているスタッフが常連と認識している人だけに販売します。「お得意さまをもてなす」という点で有効です。ただし、いくつか弊害があります。



 例えば、レジに何人かが並んでいるときに、常連のお客さまだけに「いつもありがとうございます。マスクありますよ」と声をかけたら、他のお客さまからお叱りを受けるでしょう。これはこれで、店舗スタッフが疲弊していまいます。

 また、本部から見ると、「スタッフの家族や友人にだけ優先販売するのではないか」という疑念も発生しますし、実際にそれが起こる可能性は高いです。次第に、会社全体が疑心暗鬼に陥るというリスクもあります。
 

3.    アプリで優良顧客順に「クーポン(優先購入権)」配布


 顧客IDごとに個別配信できるアプリがあることが前提ですが、現状で実現できる最適解に近い手法だと考えられます。課題として次の3つが挙げられますので、その解消方法を一緒に紹介します。

①    優良顧客の基準が適切ではない

 ドラッグストアの場合、優良顧客の基準に課題があります。多くのドラッグストアでは、年間購入金額が多い顧客を優良顧客として定義しています。

 ところが、ドラッグストアでそういうRFM分析(※)における金銭面だけが大きい顧客を抽出すると、年間購入金額は多いのに粗利率が赤字という顧客まで入ってきます(※RFM分析:顧客分析手法の一つ。Recency ・直近の購入日、Frequency・来店頻度、Monetary・購入金額ボリュームという3つの指標で顧客をランク付けして分析する手法)。

 主に、食品の高頻度購買者とチェリーピッカー、法人の消耗品購入です。詳しい解説は省きますが、いずれも粗利率の低い、もしくは赤字販売商品を高頻度もしくは大量購入している顧客です。卵を100円強、もやしを20円弱で販売しているドラッグストアでは、その傾向がより強くなります。

 粗利益額時点では、人件費・家賃・光熱費といった経費が按分(あんぶん)されていない赤字客なのに、はたして「優良顧客」と言えるでしょうか。この「優良顧客」だけが毎日大量に来店したら、売上が前年比数100%になったとしても、その店は潰れます。

 ここでの有効な手法は、「本当の優良顧客」を特定することです。

 頭を捻って、自社の本当の優良顧客を特定し、そこに投資することは、収益改善の手法のひとつです。私へのコンサルティング依頼の一部はこういったものですが、多少のお手伝いはするものの基本的には社内の人に考えてもらうことにしています。「自分ごと」にすることが必要だからです。

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