ニュースと体験から読み解くリテール未来像 #24

買い占め対策。品薄の「マスク」をドラッグストアの優良顧客にだけ販売する方法

 

アプリによる「優先購入権の配布」、2つ目の課題とは


②    店舗入荷数との連動が難しい

 実は、品薄商品が店舗に入荷する数を、数日前に本部で正確に把握することの難易度は高いです。この解説は、在庫管理型物流センター(DC)、単純通過型物流センター(TC-1)、総量一括型物流センター(TC-2)、電子データ交換(EDI)を含めた仕組みの話になりますので、ここでは割愛します。

 この状況では、「◯月◯日A店」に20ケ入る予定と把握できても、実際に品薄商品が予定日時に予定数量しっかり入荷されることは困難です。その結果、A店は上位顧客20人に、B店は上位顧客60人に…という配分ができなくなります。

 これに対する有効な手法は、複数あります。ひとつ挙げると、一旦自社物流センターの在庫とする(DC利用)ことです。自社物流センターで確保した個数を改めて店舗ごとの優良顧客に振り分けるという手法です。

 つまり、一般の商品とは物流を切り分けるわけです。

 そして、アプリから優良顧客順に優先購入権クーポンを配布する施策のもうひとつの良い点は、アプリを積極的にダウンロード・使用する顧客が増えることです。アプリを利用して、いつも同じ店舗を利用するメリットが明確になるわけです。

 なお、筆者は前職で自らRFP(提案依頼書)を書いてフルスクラッチでアプリを開発しましたが、今は前もって顧客データベースが完備されていれば、顧客IDと端末IDを紐付けることで、個別のプッシュ配信、クーポン配信などがYappli(ヤプリ)のようなプラットフォーム型アプリでも可能となっています。


 

4.    その他の手法


 アプリ同様にレジ機能を活用して、優良顧客の来店時に画面表示する機能がある企業は対応可能です。

 他にもECサイトでの抽選や株主優待券での購入といった手法も考えられます。

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