OMO時代のリテールデジタル戦略 #02

コロナ危機を迎えた小売店舗、今こそ本気で「OMO」に取り組まなければならない

前回の記事:
ECがないと店舗の売上が減る時代。オムニチャネルとOMOの違い、理解していますか?
 

オフライン→オンラインが急速に一般化


 新型コロナウイルスが世界中で猛威を振るう中、日本では4月7日に7都府県に対し緊急事態宣言が発令され、次いで4月16日に全国に拡大し、私たちの生活は一変しました。とにかくいまは一日も早く事態が収束に向かってくれることを祈るばかりです(2020年4月末時点)。

 密閉・密集・密接を避ける自粛要請のなか、オフィスでの勤務やミーティング・商談が「テレワーク」「テレカン」に、セミナーやカンファレンスが「ウェビナー」に、外食や買い物においては「飲食店の宅配の拡大」「ECのインフラ化」など、これまで技術ややり様があっても積極的に「オフライン→オンライン」に置き換わってこなかったものが、いま必要に迫られて急速に一般化しています。

 極力外出しない・人と濃密接触しないという非オフラインの状況にあっても、オンラインを活用することで可能な範囲で生活や仕事の水準を維持しようとするなかで、もちろんこれまでのオフラインでの体感・体験と全く同じではないけれど、「これはこれでいい」「これで十分」「逆に効率的」、そんな風に代替されていくものも少なくないことでしょう。

 やがて新型コロナウイルスの脅威が去って通常の生活が戻ったとき、いまのこの期間が「Before DigitalからAfter Digitalへ、パラダイムシフトのきっかけ」になったと言われるかもしれません。
 
写真123RF
 

OMO時代の到来


 「OMO(Online Merges with Offline)」とは、“OMO時代”ともいわれるように、「オンラインがオフラインを包含した状態そのもの」や、「オンラインとオフラインの融合を前提とした戦略」「オンラインを軸にして、これまで分断されがちだったオフラインを融合すること」などを指す言葉となっています。

 ここ数年多くのリテール企業が、「オムニチャネル」=リアルチャネルとデジタルチャネル、全てをシームレスに連携させよう、これらを駆使して一貫性のある対応・サービスを提供しよう、という取り組みを推進してきたわけですが、実際のところその多くが「リアル店舗とECの連携」、つまり「在庫データや会員情報・販売情報の連携」に終始してしまっているように見えます。

 それがOMOが叫ばれ始めたいま、オムニチャネルの考え方は融合・アップデートされ、やっとその本来の目的である「リアルチャネルとデジタルチャネル、全てを駆使したシームレスな顧客体験の提供」を目指す段階になるのではないかと感じます。そして、新型コロナウイルスによる危機を経て、その重要性がより一層増しているように思います。

 ネットとスマホで常時オンラインとつながった状態となり、また情報収集や購買における感度・スキルが著しく向上した消費者・お客さまに対し、企業側がオンラインとオフラインを融合・駆使することで、「どういう風にして情報を届けられるか、価値を伝えられるか」「どう気の利いたコミュニケーションができるか」、そして「どういう継続的な関係を構築できるか(フロー型からストック型へ)」を考えるべきタイミングがきたと思うわけです。

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