最新ニュースから読み解く、物流とマーケティング #09

コロナ禍で激変した物流現場。感染防止対策の実情と、EC出荷量の変化を追う

 

アフターコロナで、「EC物流」は激変!?


 当社では200社以上のバックヤードをサポートしているが、これほどクライアントごとの受注数が激変したのは初めてだ。業種によって傾向が明らかで、食品、ワイン、コーヒー関連、フィットネス器具、ダイエット用品などは伸びている。

 特に食品の伸びは大きく、前年同月対比3.5倍を超えている事業者もある。反対に、商業施設の店舗休業の影響で、アパレル・化粧品の店舗配送は激減している。さらに、これまでECの体制を整備してこなかった事業者は悲惨な状況を迎えている。

 そんな状況を横目に、ECで買い物をする人たちは、単に店舗が開いていないためにECに来ているのか? 巣籠もり消費よりも、もっとぴったりくるキーワードがないか? などと悩んでいたら、筆者の10年来の友人で日本オムニチャネル協会アドバイザリーボードでもある大西理氏から「自宅の〇〇化」というコメントをいただいた。

 


 自宅で過ごす時間が長くなったため、自宅での生活がこれまでとは打って変わって多目的化してきました。これによって、消費者の気持ちに変化が起こるとともに、需要のシフトが起き、“売れる”商品と“使う”場所に変化が出始めたのです。

 その変化によって生まれたのが、「巣籠もり消費」ということです。これを言い換えるなら「自宅の〇〇化」とか「自宅を〇〇化する」ということになります。たとえば、有名店のテイクアウトを利用し「自宅をレストラン化」、ヨガマットやトレーニングギアを買って「自宅をジム化」、ふだんは自宅で食べないおつまみや高いお酒を購入して「自宅を居酒屋化」「自宅をバー化」、そのほか自宅がプレイランド化したり、自宅がキャンプ場化するといった現象が起こっています。ミュージシャンだと自宅がスタジオ化、ライブハウス化とも言えます。

 そもそもリモートワークは「自宅の職場化」、オンライン授業は「自宅の学校化」ですし、
小売業はECとオンライン接客の組み合わせで「自宅の店舗化」も可能となりました。

 ただし、これが永続的に続くものかどうかは誰にもわかりません。いつの時代も変わるもの、変わらないものがあるので、その見極めが一番大切だと思っています。

   
大西 理氏
ゼロゼロウエスト代表、日本DM学会Webコミュニケーション部会幹事、日本オムニチャネル協会アドバイザリーボード





 今後も、この生活様式が続くと、「自宅の〇〇化」というキーワードからヒット商品が生まれると感じる。また、その「自宅を〇〇化」するための「DIY用品」や「防音グッズ」といった関連商品も拡大していくだろう。

 アフターコロナを苦難と捉えるか、チャンスと捉えるかは経営者次第ということで、物流現場からのレポートを終了する。
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