ニュースと体験から読み解くリテール未来像 #25

小売業が、今こそ本気で「BOPIS(店頭受取サービス)」に取り組むべき3つの理由

 

なぜBOPISに取り組むべきなのか


 冒頭で挙げた、BOPISに取り組むべき理由①「COVID-19の影響により、店舗滞在時間の短い買い物体験が支持されるから」について考えてみましょう。

 BOPISの次の3つの特徴は、コロナ禍で買い物時間を短縮したいマインドの顧客から支持されます。
 
  1. WEBから商品をいつでもどこからでも選ぶことができる
  2. 事前に商品を確保できる
  3. レジに並ばずに決済を済ませることもできる
 
AmazonFreshのカーブサイドピックアップ(AmazonFreshPickup Seattle、2018筆者撮影)

 次にBOPISに取組むべき理由②「店に取りに来ることで、利益が増加するから」をみてみます。

 スーパーマーケットやドラッグストアが扱っているのは、FMCG(日用消費財)です。FMCGとはFast Moving Consumer Goodsの略で、消費者向けの低価格の製品(日用消費財)のことで、「動きが速い=商品回転率」が高く、消費者の目的に合わせて商品開発のスピードが早い商品のことを指します。

 つまり、FMCGは次々とリニューアル商品や新製品が発売される商品・カテゴリーのことです(一般的に食料品、日用雑貨などが該当しますが、明確な定義はないためアパレルやスポーツ用品、家電も入るケースもあります)。

 これら粗利益率が低く、商品の点単価(顧客が購入する1商品の平均単価)も安いFMCGを扱う業態は、通常のECサイトで収益性を確保することが困難です。日本のネットスーパーの大部分が赤字なのには、理由があるのです(次回、解説する予定です)。

 通常のECと違って宅配料金がかからないBOPISであれば、オペレーション次第で黒字化する可能性が高まります。また、来店してもらうことで、店頭で実物を確認したいという顧客のニーズにも応えられますし、店内に入ってもらえれば非計画購買が発生します。

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