関西発・地方創生とマーケティング #20

「マネジメント層に大事なのは、どれだけ優秀な人材を知っているか」ダイキン工業 片山義丈氏

 

「やるべき仕事」を社内で通す秘訣は


「オールド企業では、しがらみをかき分け地雷を避けながら、テレビCMをつくることが多いので、シャープのTwitterを運用している山本さんのように優秀な人がいても、なかなかその凄さが分からないことが、企業において難しいところですね」

 優秀なクリエイターがつくったものが、社内の色んな人たちを通過するごとに、どんどん凡庸なものに置き換えられていくことがよくあります。元宣伝部でテレビCMをつくっていた山本さんは、そこから別の道を探したというわけです。

 だけど片山さんは、優秀なクリエーターにすべてを共有して、きちんと広告効果を出すためには絶対に譲れないところ、譲っても影響が少ないものをできるだけはっきりさせる。その上で、クリエイティブ案を社内で通す時に起こることをいろんな角度からシミュレーションして、絶対に譲れない部分を補強するという方向をとっているのだそう。でもいまだに、しょっちゅう失敗するそうです。
 

「デジタル」という魔法の言葉


 テレビや新聞など、いわゆる4マス媒体とは違い、デジタルについては社内の色んな人たちを通さずに、自分たちのやりたいことができるコツがあるそうです。それは「デジタルですから、という魔法の言葉を笑顔でささやくこと(笑)」だそうです。これは、他にも当てはまる企業があるのではないでしょうか。

 片山さんいわく「そもそもデジタルを実施するまえに説明するのは非常に難しいので、良いと思うものをしてみるしかない。ダイキンのデジタルが評価いただいているのは、社内でまかせてもらっているから。ワンメディアの明石ガクトさんから仕事の話が来て、初めて会ったその場で、すぐにやりましょうと発注したけど、『こいつほんとに大丈夫かな』と不安そうでした」と。

 そして以後、片山さんは打ち合わせに出ることはなく、部下にも自分に一切報告しなくていいと伝えたそうです。ただし目的を明確にして、達成すべき基準を定めたと。そしてその基準を「大きく超えるか、大きく外すか」の2つでないと評価しないと伝えたそうです。なぜ平均的ではダメなのかと聞くと、ある意味「新しい施策は劇薬でコストも高い。失敗も含めて、吸収しないと元が取れないだろう」と言います。

後編「マーケティングの4Pをもう一度、見直そう」に続く
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