関西発・地方創生とマーケティング #21

「マーケティングの4Pをもう一度、見直そう」ダイキン工業 片山義丈氏が、そう語る理由

 

Product、Price 素晴らしい製品がブランドをつくる


 では、「素晴らしい製品」という機能的価値があればどうなるのか。例えば、バルミューダのトースターを例に上げます。「これで焼くと、美味しいパンが食べられる。だから買う」と。重ねて、ブランドをつくるために大切なのは素晴らしい製品、サービスを提供することなのだと言います。

 この場合、Product以外の3Pはさほど重要ではないのかもしれません。むしろ多少高くても、量販店で手に入らなくても、プロモーションをしなくても売れるのではないでしょうか。

 そして、その製品を提供している企業自体が人々の頭の中でブランドになる。つまり、すごい製品をつくることができるのなら、すなわちマーケティング(product)ができているということになる。その結果、その製品、あるいはそれをつくっている企業は人々の頭の中でブランドと位置付けられることになる。

 一方、突出した製品をつくることができないのなら、マーケティングよりもブランディング(なんとなく良いという妄想を人々の頭の中につくり上げること)が大事になる、ということなのでしょうか。なかなか難しいですね。
 

クライアント企業の宣伝部門について


 「クライアント企業では、広告宣伝はローテーションで2~3年で変わる場合も多いが、今の時代はスペシャリストでなければ難しい業務になってきている。短期で交代すると、時間の掛かるブランドづくりの成果がでにくいし、 広告に対する判断基準もつくりにくいため、コンペなどで決めざるを得なくなってしまう」と警鐘を鳴らします。

 「自身含め社内には、テレビCMの良し悪しが分かる人はいない。だから信頼できる優秀なクリエーターにまかせて、専門性を信じて託すしかない。ただ丸投げではダメで、ダイキンの実情、流通の課題、そして世の中の流れなどを共通認識にして、その前提で目的を達成できる広告をつくり込んでいる。だから絶対にカンヌの賞などはダイキンの広告ではとれない。賞をとるより、商品が売れる広告でないと意味がない」
 

「大阪のマーケティングは不利」


 「当然、東京の方が市場的には大きいし、クライアント企業が様々なソリューションに出会う機会も多く、それに比べると大阪は少ない」

 また、東京にも共通する話ですが、「組織がマス広告とデジタル広告に分かれている企業は、依然としてマス広告部門が力を持っていて、デジタル広告に予算が回らない。でも、これからは広告会社に丸投げのビジネスモデルは通用しない。どれだけ自分たちの頭で考えられるかが勝てるかどうかの差になる。そこに気づく宣伝部長が、その企業にいるかどうか、そのきっかけがデジタルだ」と言います。

 デジタルをテレビに上手く活用しているスマートニュースのように、デジタル出身者がテレビCMなどを担当すれば、変えられるでしょうと。

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