関西発・地方創生とマーケティング #21

「マーケティングの4Pをもう一度、見直そう」ダイキン工業 片山義丈氏が、そう語る理由

 

「ポスト片山」について


 ポスト片山について尋ねると、「片山チックではない人。そしてベースとして、新しいものに興味があり、きちんと目的を把握して、どうすべきかを自分の頭で考えて取り組む人になる」と返ってきました。

 さらに「部下には自分で考えさせて、決めさせて、失敗させて成長させようと思っているが、部下が優秀なのであまり失敗しない。もっとハードルを上げて失敗させないとまずい」と言います。片山さんご自身の今後については、あまり考えていないと。

 「農耕型なので、平穏無事に暮らしたい。人間関係も出来ていて、やりたいことができる権限と仕組み、部下、協力してくれるチームができているので。やるべきことをきちんとしていれば、次も何とかなると思っている。その上で、ものを書くと頭の整理になるし、スピーカーとして登壇すると、恥はかきたくないので、それなりに勉強をするから、より高い視点で考えられるようになる」

 インプットとアウトプットを実際に現場に入り込んでやっていないとボケてしまって、昔話を自慢げにしゃべる老害になるので、あえて、そういう環境に身を置くようにしているそうです。
 

アフターコロナのマーケティングについて


 「今の状況は長くなるだろうし、間違いなく変わるだろう。多くの企業で在宅勤務が当たり前になる。今までできないと言い訳をしていた人、自宅だからと遊んでいる人は、仕事の与えられ方であったり、本人の取り組み姿勢次第で変わったりする。そして、今までできないと思っていたことも実際にしてみると、意外とできると気づく。すると、従来の仕事の進め方では満足できない人たちが出てくる。この変化が大きい。

 でも、基本的に人間の営みは変わらないので、今までよりも真っ当なことをやることに価値が生まれる。意味のないブランド広告とか、目的がはっきりしないものがバレていく。これがきっかけに変わることになるだろうけど、それは今まで無かったことなのではなく、隠れていたこと、できていなかったことであって、それらが正しくつながるということなのだ」

 最後に。今回の取材で片山さんから、いまでも「4P」を知らないマーケーターがいるという話がありました。そういう方がこの記事を読んでくださっているのだとしたら、特にブランディングのくだりは、何を言っているのか、禅問答のように感じられたかもしれません。書いている私自身、片山さんの意図を一生懸命に推し測り、そして何度も書き直しました。正しく解釈できていて、上手く伝わっていればいいのですが・・・。

 マーケティングとブランディング、なかなかに奥が深いです。
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