OMO時代のリテールデジタル戦略 #03
営業再開したPARCOから見えてきた、小売業のこれから
OMOへの対応は、with コロナの対応になり得る
リテールやショッピングセンターを取り囲む状況の変化は、いまに始まったことではありません。
特に「①ファッションを中心とする物販全般の低トレンド」「②店頭に足を運ぶ必要性や価値の低下」「③スマホ×ネットによるお客さまのお買い物技術の著しい向上」の3つのトレンドは、新型コロナウイルス感染拡大のずっと以前から大きな課題となっていました。それぞれ見ていきましょう。
①ファッションを中心とする物販全般の低トレンド
多くの物販において、店頭での肌感は低トレンドどころか、より厳しいものかもしれません。特に衣料品(被服履物)は顕著で、総務省統計局「家計調査年報」によると、ここ10数年で1カ月の平均支出金額は1万6000円台から1万円台へと大幅に下落。外食や娯楽サービスのそれがほぼ横ばいなのと比べると、いかに際立って下落しているかが分かります。
②店頭に足を運ぶ必要性や価値の低下
お客さまの情報収集・購買チャネルがオンラインへ移り始め、それに対応するべく事業者がEC(やデジタルマーケティング)を競うように進化させた結果、お客さまにとってオンラインの利便性は大きく向上しました。大抵の商品はECで売っているし、さまざまな点から比較検討できるし、注文した翌日には届く時代です。相対的に店頭に足を運んだり、接客を受けたりする必要性は減少したと言えます。
③スマホ × ネットでお客さまのお買い物技術が著しく向上
スマホ × ネットでお客さまの“お買い物技術(と私は呼んでいます)”は著しく向上しました。いまやショッピングの主導権は完全にお客さま側にあると言っていいでしょう。また、メルカリ・ラクマといったフリマアプリやCtoC市場の成長によって、「リアル店舗でもECでもなく、フリマアプリ(CtoC)で買う」「フリマアプリで売ることを前提にした買い物をする、買ってもらえるうちに売る」という新たな消費スタイルが浸透した影響も小さくありません。
だからこそ、「常時オンライン+“お買い物技術”が著しく向上したお客さま」に対し、「どういう風にして情報・価値を伝えられるか」「どんな気の利いたコミュニケーションができるか」「どういう継続的な関係を構築できるか」この先も“お客さまに選ばれ続ける”ために、オンライン~オフラインを駆使したOMOへの取り組みが重要になってきているわけです。
そして、新型コロナウイルス感染拡大の影響下で多くの生活者・消費者が「オンラインへ偏重」「在宅消費と外消費とのバランスが大きく変化」したいま、OMOへの取り組みの重要性はより一層、増していると言えるでしょう。