OMO時代のリテールデジタル戦略 #03

営業再開したPARCOから見えてきた、小売業のこれから

 

では、オンラインが全てを解決するか?


 緊急事態宣言の発令中は、多くのリテール企業で「ECやデジタル(チャネル)の強化」が叫ばれていたと思います。

 PARCOのECプラットフォーム「PARCO ONLINE STORE」でも、オンラインゲームやアニメのコンテンツのグッズが大反響を呼んだり、古着・一点物の企画展を実施したり、各館でテナントさんの支援に力を入れてきました。

 リアル店舗の営業が再開したとはいえ、社会経済の活動レベル・外消費の引き上げはまだまだ様子見の段階であり、この傾向は当面続くことでしょう。 

 ECやデジタルは「社内に分かる人が少ない」といった理由もあってか、企業全体・他部署からの理解や協力を得づらい状況の中、メインストリームであるリアル店舗事業とは別に、独自の路線でこれまでやってきてしまったケースも少なくありません。

 そんな中、未曾有の事態によって突然「ECやデジタルの強化」が声高に叫ばれ始めたわけですが、間違えるべきでないと思うのは、ECやデジタルを整備しておくことはもちろん重要であるものの、ECやデジタルそれ単体ではリアル店舗の窮地をリカバーしきれないことが改めて明白になったのも、ある意味では今回の本質ということです。オンラインで全てを解決・リカバーできるわけではなく、その限界や課題が浮き彫りになったわけです。

 これまでのようにEC(デジタルチャネル)とリアル店舗(リアルチャネル)が、それぞれ別の主体として存在し続けるのではなく、お客さまに対して「ひとつの主体」であることが今後ますます重要になってくる。

 小売企業は、コロナ禍をそう捉えるべきでしょう。
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