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コロナ禍で伸長する通販。大事なのは顧客から「長く愛されること」―グランドビジョン 中尾賢一郎

 

ECサイト立ち上げ1週間で、通販年間売上げを達成


――先ほどコロナ禍を経てダイレクトマーケティングのニーズが高まっているというお話もありましたが、具体的には、どのような領域に変化が起きていると感じますか。

  一般的に通販ビジネスの世界は、健康食品や美容・化粧品を手がける企業が多いのですが、今回は食品が増えてきたと感じています。コロナ禍を受けて、北九州のソウルフードとも言える「資さんうどん」が急遽ECサイトを立ち上げたところ、わずか1週間で今までの通販年間売上げを達成できました。お客さまのほとんどは、既存顧客。送料の問題もありますが、日常的に食べる食品の通販は今後、拡大していくと予想しています。
 
「資さんうどん」ECサイト

――「1週間で、通販年間売上げを達成」とは、すごいですね。

 はい、興味深かったのは、九州だけでなく関東と関西でも売れたこと。ECサイトのローンチがニュースとしてYAHOO! JAPANなどにも掲載されたため、その味を恋しく思っていた全国の人が買うようになったんです。

 やはり、その背景にあるのもブランド力。例えば、私が突然うどん屋を開業してECサイトで売りだしても、なかなか買ってもらえないでしょう。「資さんうどん」の場合、すでに多くの人が食べた経験を持ち、かつ安心安全という良いイメージだったため、ブランドが担保されていたんです。

 結局、いろいろな会社が通販に参入しても簡単ではないのは、そういう背景があります。逆にしっかりとブランドをつくる重要性が分かっていれば、成功する可能性は高まるでしょう。

――先ほどの「エバーブランディング」のように、顧客から長く愛されることが大事なのでしょうか。

 そうですね。結局、通販のビジネスモデルは、どれだけ顧客がリピートしてくれるかです。最初のCPO(Cost per Order:注文1件あたりにかかった広告費)は高くても、長く買い続けてもらえれば、その分が回収でき広告費ももっとかけられます。

 これまで多くの会社は新規獲得ばかりに目が行きがちでしたが、人口減少で市場は縮小化していくうえ、参入企業も多いとなれば、一度出会った顧客に長く支持され続けることが大事になります。

 D2Cの魅力も同じで、顧客リストという財産が手に入ること。そうすれば、そこに対して異なる商品をアプローチしてクロスセルができる。データベースマーケティングという話になりますが、顧客リストを効果的に活用できていない会社が多いと思っています。

――最後に、今後の展望をお聞かせください。

 D2C事業者を成長に導くことのできる能力のあるプロデューサーを採用し、育成すること。もうひとつは、海外展開です。昨年からベトナムで通販を始めたクライアントを支援しているのですが、文化の違いはもちろんオンラインが圧倒的に強いという点も勉強になりました。福岡はアジアに近いという立地の強みもあるので、ベトナム以外にもその経験を生かしていきたいですね。

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