ニュースと体験から読み解くリテール未来像 #26

コロナ禍で注目の「BOPIS(店頭受取サービス)」成功に必要な3つの要素

 

すでにBOPISが稼働しているカインズの試み


 ホームセンター業界の大手カインズはBOPISを開始しています。公式アプリに「CAINZ PickUp」という機能があり、最短で当日に受けとることができます。筆者が夜中に注文したところ、翌朝開店後すぐに「準備ができました」という通知がきました。

 また、受け取るためにサービスカウンターに行ったところ、10数件の取り置きがあるのを見ました。導入からあまり経過していないのに利用率が高いことに驚きました。アプリの使い勝手も受け取りも、スムーズでした。
 
 

 冒頭で紹介したように、まず「実用的な商品マスター、棚番・棚段マスターと各SKUの保管状況データを作成し、日常の更新が的確に行われていく仕組みをつくる」ことが求められます。

 この項目が最も根本になります。スポーツで足腰を鍛えることと同じです。土台がないと結果は出ません。①商品マスター、②棚番・棚段マスター、③在庫データの3つの観点から見ていきましょう。

①    商品マスター

 商品マスターについて、伝票で受発注できれば良い…という状態で留まっている小売業は多いです。そういった企業の店舗でプライスカードを見ると、カタカナや商談では通じるがお客さまには伝わらない略号表記(例:エリ…ファンデ OC10〈R〉)が使われています。

 成城石井やオーケーストアの店舗のように、お客さま向けに商品マスターを最適化(商品名・規格だけでなく商品特徴も)できているFMCG小売業は3割もないです。逆に言うと、お客さま向けの商品情報を整備して提供することで競合他社との差別化ができるということでもあります。

 BOPISは、商品名は当然として商品画像がひとつのキーになります。ECに取り組んでいる企業であれば、ある程度の商品画像は整備されているはずですが、お客さま向けの商品画像と店舗ピックアップで必要な商品画像が異なる商品もあります。

 店舗在庫から商品をピックアップする際に必要なのは商品外装の写真です。ECサイトなどでお客さまに訴求する際には、商品自体の姿(下図左の写真)をお見せすることが一般的ですが、BOPISでのピックアップの際には店舗にどういう姿で並んでいるかが必要ですので、ピックアップシステムにおいては下図右の写真を表示する必要があります。
 

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