ニュースと体験から読み解くリテール未来像 #28
Amazonの新サービス「Dash Cart」が、「Amazon Go」より普及する可能性がある理由
不正利用者のアカウントを後から削除できる可能性
Amazonは、まとめ買いの少ない中小規模スーパーを想定顧客としています。Amazon Dash Cartが数多あるScan & Go型サービスと最も違うのは、重量センサーの活用です。
筆者の推測ですが、スキャンせずに入れた商品によるエラーの有無などによって、レーンで不正を判断して万引き防止を狙っている可能性があります。また、バーコードスキャナー以外に録画カメラが搭載されていると予測します。不審な行動に対してだけ画像チェックが可能となれば、後から不審者のアカウント削除といった措置がとれるため、不正利用を抑制できます。
そして、もうひとつ価値を付け加えるなら、お客さまはマイバッグをカートに入れておけば、サッカー台(購入者用の荷づくり作業台)で入れ替えずに、すぐに持って帰れるという良い顧客体験が得られます。店側にとっては、サッカー台のスペースが不要になるというメリットがあります。
筆者の知る限り、究極の顧客体験をもたらす決済サービスはAmazon Goです。類似サービスが米国サンフランシスコ、中国のベンチャー、日本でもJR東日本のTOUCH TO GOとリリースされていますが、Amazon Goの識別精度が圧倒的に高いです。これは実利用の量による、ノウハウ蓄積が大きいと考えられます。
しかしながら、AmazonがAmazon Goを他の小売業に外販するという視点で見たときには、データ活用をやりきれない企業には割高になってしまうというデメリットがあります。
実際に体験してみないと言い切れませんが、Amazon Dash CartはAmazon Go や他のScan & Go型サービスのデメリットを解消するサービスである可能性が大きいと考えます。
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