ニュースと体験から読み解くリテール未来像 #29

九州の雄コスモスは、首都圏ドラッグストアに勝てるのか

 

コスモス薬品の戦略と新業態チャレンジ


 コスモス薬品は、「日本初の小商圏型メガドラッグストア」という戦略を立てています。
 
 小売業では、大きな商圏には大きな店舗、小さな商圏には小さな店舗という考えが常識です。しかし、コスモス薬品は、あえて小さな商圏に可能な限りの大型店(売場面積2,000平米または1,000平米)をつくり、その地域にお住まいの方にとって最も便利な店舗をつくることを基本コンセプトとしています。

 コスモス薬品が考える小商圏とは、商圏を自ら分割して他社の入り込む余地がない程の小さな商圏を意味します。その小商圏内で圧倒的なシェアを獲得することを目指しています。これからの小売業はこの小商圏でお客様の支持を得てこそ、真の勝者となるのです。 (引用:http://www.cosmospc.co.jp)

 お客さまにとって最も重要なのは時間であり、その節約こそが消費者最大のニーズである。そして、それを満たす業態は支持されるという考え方に基づいたビジネスモデルです。

 また、コスモス薬品ではEDLP(Everyday Low Price)戦略を採用しています。これも短期間に限られた商品だけを安くする手法では、忙しいお客さまにご満足いただけないという考えに基づくものです。

 特売がないことでPOPの貼り替えや特売品の発注・陳列、従業員シフトの調整といった作業と物流量が平準化でき、サプライチェーン・マネジメント(SCM)全体のコストを低くすることができます。SCMコストが下がることで、結果として毎日安い状態を継続できるのです。ただ単に食品構成比を上げても、コスモス薬品と同じビジネスモデルにはなりません。 
 
 そんなコスモス薬品ですが、食品が中心なこともあり物流の制約上、関東進出は昨年でした。中野サンモール、広尾、西葛西、新宿歌舞伎町など、インバウンド顧客をターゲットとした化粧品、医薬品中心の小型店(50~100坪)を出しましたが、筆者の見たところ成功するフォーマットには感じませんでした。それが理由かはわかりませんが、LINEのクーポンが乱発され、他のドラッグストアと差別化できていないように見えます。コロナ禍の影響もあり中野サンモール店はすでに閉店しています。
 
2019年4月17日開店した広尾店

 今年に入り、関東での食品物流確保ができたため、5月の龍ケ崎ニュータウン店を皮切りに、茨城・埼玉に本来のフォーマットである500坪前後の郊外店を展開し始めています。

 上野毛店およびその後出店した祖師谷店は200坪前後とコンパクトですが、カテゴリー単位では、本来のコスモスのフォーマットに近い展開がされていました。

 なお、上野毛店は4月14日に開店したものの、従業員が新型コロナウイルスに感染したことで、4月18日から2日間臨時休業し、順風満帆とはいい難いスタートとなりました。

 参考:上野毛店(東京都世田谷区)において、従業員が新型コロナウイルスに感染したことによる臨時休業のお知らせ

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