OMO時代のリテールデジタル戦略 #04
買い物に幸福感を与える「セレンディピティ」は、コロナで失われたのか
ショッピングセンターのセレンディピティ
物販・飲食・サービスと、ひとつの館に数十~百を超える多種多様なショップに出店いただいているPARCOのようなショッピングセンター・商業施設はまさに「セレンディピティ」の最たるものです。
元同僚であり、プライベートでは音楽仲間でもあるヤプリ マーケティングスペシャリストの島袋孝一氏の言葉を借りると、「ショッピングセンターは、買い物をするお客さまにとっても、出店しているショップにとっても、新たな偶発的な出会いを生む場」です。
いまPARCOでは、OMOへの対応を進める中、お客さまそれぞれの嗜好・関心や購買履歴、オンライン~オフラインの行動といった様々なデータやAIを活用することで、「商品単位・サービス単位で、それぞれのお客さまに“刺さる”提案ができるようにし、そのお客さまにとってのセレンディピティを“なかば確信的に”引き起こせるようにしたい」。そう考えています。
ショッピングセンター内の「すべてのショップを見て回れる」お客さまは決して多くないでしょうし、週替わり・日替わりに入荷する「すべての商品をチェックする」のも現実的ではないですよね。
よく行くショッピングセンターでも、訪れたことがないフロアや区画、なんとなく見過ごしていたショップ、名前も何のお店かも知らないショップ……そうした「見逃している」ショップや商品のほうが圧倒的に多いことでしょう。
「時間の限られたお客さま」に対し、普段来店された際は見逃してしまっているけれど、「様々なデータから導き出された、そのお客さまにぴったりだと思われる、ショップや商品・サービス・コンテンツがあること」を的確に提案できたら、セレンディピティを演出できるのではと考えているわけです(もちろん、店頭に限らずECでも)。
皆さんの事業において、お客さまに提供できる「セレンディピティ」とはなんでしょうか。一度考えてみる価値はあると思います。
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