最新ニュースから読み解く、物流とマーケティング #12

コロナ禍でAmazonの宅配会社が急変。置き配が勢力図を変えた?【EC物流2020】

 

配送キャリアが大きく変化していた


 コロナが来る前の配送キャリアの、状況を確認してみよう。
 
※国土交通省調べ

 この図を見ると、なんとECの売上が毎年拡大しているにもかかわらず、ヤマト運輸と佐川急便の配送個数が下がっていることがわかる。

 この理由も、Amazonにあった。では、Amazonが利用している宅配会社の内訳を見てみよう。



 2017年の4月に71%もあったヤマト運輸の荷物が2020年9月では23%まで減少している。逆に伸びているのが「Amazon宅配」で、2020年9月には59%まで拡大している。

 Amazon宅配とは、Amazonと貨物事業者が直接契約する「Amazon Flex(アマゾン・フレックス)」と「Amazon delivery service provider(アマゾン・デリバリー・サービスプロバイダ)」のことだ。

 置き配の導入で配送効率があがるとともに、配送品質(対面での印象など)の心配もなくなり、Amazonは一気に自社配送(Amazon宅配)への舵を切ったと思われる。

 つまり、巣ごもり特需で激増した宅配荷物だが、3大配送キャリアには充分に配送できるキャパシティがあったということだ。
 

新たなラスト・ワンマイル事業者


 アマゾン以外でも「置き配」を手掛ける事業者が出現している。

 神戸の通販企業フェリシモとセイノーHD、ココネット、エヌエルプラスが2019年にジョイントベンチャー「LOCCO」を設立した。そのLOCCOが展開する「置き配専門」の物流サービスが「OCCO」だ。



 通販会社フェリシモの置き配を希望する顧客の荷物を、セイノーHDの幹線輸送で関東の物流センターに運び、その荷物をギグワーカーと言われる配達員が取りに行き、配達を完了させるという仕組みとなっている。
 

 配送が完了すると荷物を置いた写真がメールで配信される。在宅でも好きな時に取りに行けば良いので、非接触での荷物受取がスムーズだ。

 サービス開始から1年で、今のところ盗難被害は起こっていないとのことだ。配送トラブルは少なく、唯一隣りの玄関に置き配してしまったトラブルがあったが、送られた写真で購入者が隣りの玄関と判って、荷物を回収して事なきを得たとのことである。

 LOCCOではこのサービスを他の通販事業者にも提供していく予定で、第4のラスト・ワンマイル事業者になる可能性を秘めている。

 さまざまな禍をもたらしている新型コロナだが、その災禍にも対応しEC物流は進化し続けている。新しい生活様式は、EC物流の受け取り方にも変化をもたらした。
 
 この文章は、10月22日発売の「EC通販で勝つBPO活用術」から一部抜粋している。
他の連載記事:
最新ニュースから読み解く、物流とマーケティング の記事一覧
  • 前のページ
  • 1
  • 2

マーケターに役立つ最新情報をお知らせ

メールメールマガジン登録