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オムニチャネルがもたらす変革、問われるリテールとメーカーの新たな関係 #02

デジタル時代にメーカーがすべき組織づくりと資産の有効活用【Supership 中村大亮】

メーカーと流通、それぞれの資産の有効活用を

 次に、2つ目の資産活用についてです。当たり前ですが、前提として資産の棚卸が必要になります。ここでいう資産は相手(流通側)と自分(メーカー側)双方を指しますが、順番はどちらでもいいと思います。

 まず、流通側の資産ですが、「どんなデジタルアセットを持っているか」に加えて、「キーになるファンクション」「キーマンはどこにいて誰か」「今後オムニチャネル領域に対してどのようなビジョンを持っているか」は理解したいところです。

 今回はどんなデジタルアセットを持っているかに絞ったものになりますが、GMS、ホームセンター、ドラッグ業態の上位企業を例にあげて少し調べてみました。

 Supership中村調べ(あくまでも参考レベルなので、誤っていたら申し訳ありません。)

 ゼロベースからネット上、各SNSプラットフォーム上の情報のみを使って約1時間強かけて調べましたが、この程度ならすぐに描けます。

 これは何を使っているかのみの表になりますが、そこで「何を実行しているか」が最も重要です。集客なのか、買い上げ点数アップなのか、購入後のアフターケアなのか、ここでは表現しきれていませんが、クーポンやキャンペーン情報中心の販売店、それに加えて生活情報も発信している販売店など、それぞれに少なからず特長があり、注力しているソリューションが垣間見えます。

 この辺りの情報に加えて、前述したキーファンクション、キーマンを把握し、今後どの接点、どのソリューションに期待しているかが分かれば、寄り添うべきポイントがクリアになってくると思います。

 次に、自社資産の整理ですが、メーカーであれば言わずもがな”商品”が最大の資産ですが、その周辺情報である商品情報や商品カテゴリーに関わる情報全般もメーカーの資産になります。ここでいう「商品カテゴリーに関わる情報」とは食品メーカーでいうレシピ、トイレタリーメーカーでいう生活情報を指します。これらの情報をオウンドメディアを通じて、情報発信しているケースが一般的だとは思いますが、さらに踏み込んでこれらをデジタルの顧客接点を拡大している流通の資産にのせると、顧客が必要とするタイミングで有益な情報を届けることができると考えています。

 例えば、ID-POSやクーポンの使用・閲覧履歴からペット用品に関心がある、あるいは購買している顧客が認識できると仮定して、その顧客に対して季節の変わり目のブラッシングケア情報を提供しておススメの商品を提示、”ペット用ブラシ”を購買してくれたお客さまには使い方コンテンツを提供する、といった具合です。

 技術的に購買者をデジタルIDと連携できない場合は、ペット商品がよく売れるエリア、店舗の顧客に対してなどでもいいでしょう。クーポン情報配信が悪いとは思いませんが、“お金”で買い気をそそるより、買う理由(潜在的な課題解決など)を与えて、可能であれば購入後の接点で顧客の満足度を最大値にもっていく施策を組み合わることで、流通・メーカー・顧客それぞれ三方良しの関係がつくれると最高だと思います。

 将来的には流通側、メーカー側のデータを相互活用することは重要だと思います。POSデータはあくまで「購買した」という結果データで、どんな課題があってその商品を買ったかまではそこからは読み取れません。シングルソースで両者のデータを繋げて、メーカー側のプロモーションによって購買したのかという分析も重要だと思いますが、メーカーが保有しているデジタルコンテンツのデータから、いつ、どんな課題を持っている人が多いのかといった顧客の兆しを掴み、施策を設計し、POSデータで答え合わせをするPDCAを協業できるのではないかと思っています。

 この記事を書いている間にも、セブン&アイ・ホールディングスがデータコンソーシアムの構想をリリースしました。今後こういった動きが活発になる狼煙ではないかと思います。

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