ニュースと体験から読み解くリテール未来像 #33
コロナ禍で進む、店舗のコワーキングスペース化。体験して見えてきた可能性
実店舗は(数・規模が)小さくなる
「洋服の青山」こと、青山商事が2020年10月に水道橋店のスペースを5割縮小し、大型サイネージやタブレット端末を複数台設置しました。
これはオンラインストアの約1000万点以上の在庫から好みの商品を選ぶことができる「デジタル・ラボ」を導入し、店内の品揃え不足を解消することが狙いです。クロスチャネル化による店舗在庫の圧縮と、店舗人員の効率化に向けた取り組みでしょう。
Deloitteが注目すべき論文「The future is coming … but still one day at a time. Seven data-driven trends defining the future of the retail and consumer products industry. 」を発表しています。
ここでは「Brick and mortar becomes smaller and closer(実店舗は小さく、近くなる)」というトレンドを紹介し、近年のコロナ禍において有効と考えられる手段のひとつとしています。
青山商事のシェアオフィス事業BeSmartを体験してみた
青山商事の取り組みが面白いのは、実店舗を圧縮して空いたスペースをパーソナルワーキングオフィス「BeSmart」として、シェアオフィス事業を始めたことです。
1時間550円(税別)でドロップイン(一時)利用もできるということなので、さっそく行ってみました。JR水道橋駅から、徒歩2分で到着します。
シェアオフィスにはビル内の専用入口はもちろん、店舗経由でも入ることができます。独特の店構えです。
筆者はせっかくなので、「洋服の青山」の店内を通ってみました。驚いたのは、入店時の挨拶はもちろんですが、シェアオフィスの入口を開けた時にも挨拶があったことです。もし別の事業者が運営していたら、こうしたホスピタリティはなかったのではないでしょうか。
最初にドロップインの受付を済ませます。オプションとして30分200円追加して、個室のオンライン通話席も利用できます。個室では有線LANも引かれているとのことで、ウェビナー登壇時や重要な商談時には使ってみたいと思いました。
シェアオフィス内の雰囲気は、公式ページの通りです。広いオープンエリアの床材はメンテナンスしやすいPタイル、会話・電話NGで静かに利用するQuietエリアは足音が響きにくいように毛足が長めのカーペットで床材の使い分けをしていました。コロナ禍での新設のため、隣席との間仕切りを大きくするなど、ひと工夫されていました。充電、Wifi、モニターなど設備は一通り揃っていました。