関西発・地方創生とマーケティング #26

「プロデュースした商品は、売れなくてもいい」と語る理由。工場再生請負人 セメントプロデュースデザイン 金谷勉

 

自分で買い物しないと買い手の気持ちは分からない


 金谷さん自身が代表を務めるセメントプロデュースデザインも、過去に数社からコンサルティングを受けたことがあるそうです。

 その狙いは、もちろん自社を強化することにありますが、逆に金谷さん自身が他の企業のコンサルティングをする立場として、その企業からどう見られているのかを知るためでもあった、と話します。

 「自分で買い物をしないと、買い手の気持ちが分からないのと同じ」と言います。同様に、例えばSNSの運用などに関するビジネス本でも、実際に自分で商いをしている人のものを買うべきだと言います。

 そうして自分自身がコンサルティングを受けながら、逆に機能しない人の共通点を見つけていき、自分がするなら、こういうことはしないと反面教師にしていったそうです。

 「大事なのは、自分が体感し実感したこと、そして行動してきたことをベースに自分の言葉で伝えることです。反対に、例えば、何の根拠もなく広告の提案をしてきたり、検証もせず責任も取らないコンサルティングには、体温が感じられないので、そういうところには頼まないし、自分自身も決してそうはなりたくないと思いました。そもそも中小企業は、複数社に相談する余裕はないし、お金のかけ方をよく考えるべきです」

 そこまでする理由について金谷さんは、「自分の会社を自分が依頼したいと思える会社にしたいからだ」と想いを語っていました。
 

商品が売れなくてもいい


 金谷さんは、自身がプロデュースした商品が「売れなくてもいい」と言います。売れるにこしたことはないが、会社がつぶれない程度であればいいと。

 なぜなら、「会社の顔になる商品ができて、その商品がメディアに取り上げられ、人々にその工場ではそういう商品をつくる技術があるということが伝われば、それがPRになり、本来の下請けの仕事が増えるようになるからだ」と言います。
 
 そこに真理があるのであって、そのためにも工場の人たちとは、そもそも売れる商品をつくることが目的ではないのだと“周波数”を合わせることを大事にしているそうです。

後編に続く
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