関西発・地方創生とマーケティング #28

えとじや 岡本晋介さんとの雑談から考えた「顧客中心の戦略設計」とは?

 

仕事のモチベーションは「誰か」の喜び

 ウェディングで花嫁がトスしたブーケ。友人が「近い将来、私も結婚できるかも」と夢見ながら受け取り、披露宴で飾られ、その後しばらくは受け取られた方または新郎新婦の自宅に飾られます。しかし、そのまま枯れてしまったり、あるいはドライフラワーになったりするでしょう。

 これが一般的なブーケの扱われ方ですが、ブーケを「プリザーブドフラワー」に加工して残す、両親などに贈るというサービスがあるそうです。岡本さんのご友人がそういうサービスをされています。(プリザーブドフラワー専門店「Green’s Tale神戸元町
 
プリザーブドフラワー
 これは、すごくいいアイデアだと思うのですが、そういう花の加工ビジネスをしている方が、ホテルのブライダル担当者に対して、どうアプローチすれば、そのサービスを取り扱ってもらえるのだろうかと悩んでいるのだが、アドバイスはないか、と岡本さんに尋ねられたのです。

 最初に出た案は、そのサービスはきっと新婦のベネフィットになるから、ホテルのブライダル担当者からすれば、そのままセールストークに使えるのではないか、というものでした。花嫁も、式の間ずっと手に持っていたブーケを記念に残したい、あるいはお世話になった両親に感謝のしるしとして贈りたい、という気持ちがあるだろう、という発想です。

 次に出たのが、「きっと新婦に喜んでもらえますよ」とブライダルの担当者のマインドに訴えかけるという案でした。彼女らは何よりもゲストに喜んでもらいたい、それが嬉しくて働いている、そういう人が多いのです。

 このようなBtoBtoCサービスの場合、普通は前者のように花の加工業者からブライダル事業者に対して、顧客にとってのベネフィットを伝えて商品を取り扱ってもらうわけですが、後者の場合はブライダル事業者のマインドに対して訴えかけます。

 すなわち、ブライダルで働いている人は、花嫁に喜んでもらえることを自身の喜び、つまり仕事のモチベーションとして働いているという点に着目するのがいいのではないかという考えです。

 「つまりお客さんが喜んでくれることです、それ以外に何かありますか?
岡本さんがそれを忘れていたとしたら大問題です」と叱っておきました。

 以上、岡本さんと様々な話をさせて頂きました。

 途中、場所をうどん屋に移したのですが、そこでもほぼマーケティングの話でした。帰り際にふと、「これだけ岡本さんの時間を独り占めできるなんて贅沢だな」と考えていると、岡本さんから「いやー、今日は楽しかったですね」と言われて、素直に嬉しい一日でした。
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