関西発・地方創生とマーケティング #29後編
ホームセンター業界からの視察が絶えないDIY FACTORY山田岳人氏が語る、「マーケティングとは、幸せの量を増やすこと」
関西で事業を続けるのは、有利か不利か
事業継承について伺ったところ、大阪を離れる必要性は全く感じなかったと。仕事の仕組みはクラウド、作業はリモートだし、実際東京へ行ったとしても、3時間あればたどり着くので日帰りもできるし、会いたい人にはその時に会えます。ただ以前、関西で資金調達する時に5000万円しか出せないと言われたことがあるそうです。でも、それは関西だからということが理由ではなく、その時の自分たちの事業には、それだけの価値しかなかったからだと。
その後、ブラッシュアップして、グリーやメルカリなどへ投資していたグロービスキャピタルパートナーズからの調達に成功します。大阪への出資1号案件だったそうです。
なぜ他の企業への出資がなかったのか、それはコミュニケーションがあまり取られていないから、あるいは事業そのものに魅力が無いからのどちらかであって、大阪の企業だからということが理由ではないと言います。
逆に良い点としては、関西にはベンチャー企業が少ないけど、働きたいという人は多いから優秀な人が採用できるそうです。地方は不利だというのは、地方の人の単なる言い訳に過ぎないと。
家業を継ぐということ
実は、奥様の実家の家業を継ぐということが結婚の条件だったそうです。大都は初代が金物、先代が工具問屋、そして山田さんが3代目です。今はだいぶ様変わりして、DIYという体験をECで提供する小売り事業になりました。創業80年のベンチャーと、ご自身で表現されるのですが、一体なにをもって継承と言えるのか伺いました。
「メーカーの代理店口座」、つまり仕入れ先が変わっていないこと、それが大都の意味、受け継がれてきたものだと。つまりバランスシートには載っていない資産なんだと。
最後に良いお話だなと思ったのは、大都では毎年社員に、社長からお年玉を渡すそうです。社内には今の時代に手間もかかるし、何故という疑問の声もあるようですが、先代から続く習わしのようなもので、先代いわく「なんでって、親が子にお年玉を渡すのは当たり前のことやろ」と言われたそうです。これも引き継いだ大都の文化なのかもしれませんね。
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