関西発・地方創生とマーケティング #30前編

営業利益115.3%増、「BOTANIST」を軸に業績を伸ばすビューティーテックカンパニーI-neはどのように成長したのか

   

暮らしには幸福を求めたい消費者の本音

     
 人々が生活のなかで使うシャンプーの量は変わらないはずなのに、BOTANISTの売上が飛躍的に伸びた理由は、コロナによって旅行などの出費が大きく減った分、日常の生活で少し贅沢をしようと、いつもより高めのシャンプーを使う人が出てきたからではないかと思います。
 
 外出が減って、特に女性は化粧する機会が減ったそうです。しかし、仕事がリモートワークになってオンライン会議など自分の顔を見る時間が増えたことをきっかけに、美容にはきちんと気をつけないといけないという思いが、ワンランク上の商品を試そうという気持ちを促したのだと聞いて納得しました。これは、新規顧客を増やしていくチャンスだと思います。
 
 ドラッグストアでは実商材や香りのサンプルを設置できて、それも新規購入のきっかけに繋がると伊藤さんはおっしゃいます。その場で、自分の好きな香りなのか、浴室にマッチするデザインなのかを見極めて購入できる。吟味して購入したBOTANISTだからこそ、リピート率は86%と言います。もちろんそこには、使用感も含めた商品自体のクオリティーとブランドとしてのこだわりもあります。
      

          

ブランディングへのこだわり

     
 香りやデザインにこだわりを持つBOTANISTというブランド名の由来は、「ボタニカル」にあるそうです。日本国内だけでなく、常に海外もベンチマークしていて、2014年頃、アメリカでボタニカル柄などのファッションが流行していたことにも着目し、「ボタニカル」の世界観を持たせた、ヘアケアブランドを立ち上げたと言います。
 
 では、何故あえてレッドオーシャンのシャンプー市場にI-neは参入したのかと聞くと、「Chain of Happiness」のミッションには、一人でも多くの人に笑顔になってもらうために、ビューティーテックカンパニーとして世界中のボスにイノベーティブなアイディアとマーケティングで幸せな体験を届けるという使命があり、それをお客様、お取引先、地域社会、地球環境まで広げて、最大化するためには、I-neの強みである美容商材で、もう一つ会社のステージを上げるヒットを出して、企業規模を大きくする、そのためにはシャンプーのような市場規模の大きさが必要だと考えたからだと言います。
 
 そうして、名ばかりのボタニカルではない、ボタニカルの本質である「植物とともに生きる」というブランドミッションのもと、成分にこだわり、また販売施策などはブランドコンセプトに沿ってやり通したことが、他社との大きな違いであり、強みになったのだそうです。
 
 また、BOTANISTが成長した背景には、テレビCMを配信するなどの目先の効果ではなく、10年以上続くブランドになることを目標にして、ナノベーション主催のマーケティングアジェンダに参加するなど、さまざまな方にアドバイスをいただいたことがあると言います。多くの人との関わりやアイデアの凝縮なのだと。

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