リテールから考える「マーケティングの本質論」 #04
知らないと損する「ゴールとプロセス設定」の効果的な使い方【コメ兵 藤原義昭・後編】
アパレル店舗でのゴール設定を考える
①パーチェスファネルの設計
重要なのは、力点を見つけることです。店舗マネジャーは、実際に顧客と対話しているスタッフと話をしながら構築していくべきで、カスタマージャーニーマップの作成時と同じくワークショップで設計するのがよいでしょう。ポイントは、実際に接しているスタッフから出てきた生の声を咀嚼して、力点のポイントが見つけられるかどうかです。
実際のカスタマージャーニーマップの作成は、セミナーや書籍などから詳しい作成方法を学んでください。また、計測点は入店数などICTで自動計測できることはもちろんですが、スタッフの手動カウントが重要であるため、面倒くさがらずに計測する仕組みをつくることがポイントです。
②実数値の計測
①で作成したパーチェスファネルの計測点が設計されたら、現場で実際に計測してください。ポイントは手動カウント(例えば、スタッフの接客数など)で漏れが無いようにすることです。店舗内で日時ごとの計測数を働いているスタッフにもオープンにしてプレッシャーを与えるなど工夫して、計測する癖と合わせて見える化をしてください。
例えば、最重要のKPIを接客数にすると、中には数をごまかすスタッフが出てくるかもしれません。その数字を検証する場合、「成約数÷接客数」で成約率が出るため、明らかに異常値(低い)が出れば、確認をおすすめします。
③GAPの確認と足りない数値の設定
実際に、KPIに設定した数値を各フローにプロットしてゆきます。ここで見るべきポイントは2つあります。ひとつは、パーチェスフロー上で次の段階への遷移率です。もうひとつは、固定する数値を決定します。
遷移率を求める理由は、各パーチェスファネルがどのぐらいまで数を増やせれば最後のゴール(今回は売上)に近づけられるかを確認するためです。そしてKPIの中でも、数値を変化させてはいけないところと、変化させにくい所を固定値にしてします。
今回の場合は、次の5つです。
- 店舗前の交通量30万人
- 入店数1万5000人
- 客単価1万円
- 決済数1000人
- ゴールである売上1000万円
店舗前の交通量は自分たちで変化させにくい数値です。実際のGAP数値だけみると、30万人を40万人まで増やさないといけません。ショッピングセンターなどの店舗であれば、なおさら自社だけで動かすのは難しいはずです。したがって、自分たちの行動で変化させることができる数値を見ていきます。
「遷移率から売上額をつくるには?」という観点から、割り戻してゆき「仮のKPI」をプロットします。上記でお伝えした通り、ここは非現実的な数値が入ることが多いです。そのため、「仮のKPI」としています。ここでは仮を見ていただき、ざっくりと、どのぐらい行動が足りないかを把握することがポイントです。