リテールから考える「マーケティングの本質論」 #04
知らないと損する「ゴールとプロセス設定」の効果的な使い方【コメ兵 藤原義昭・後編】
④行動KPIの設定
各フローの数値は1回でビシッと決まるものではなく、仮説と検証を繰り返すと遷移率が収斂していくため、あとはこの遷移率に合わせて、行動回数と配置人員を決めると行動KPIで担保できる売上が確保できます。
今回は「声掛け」を増やすことで、他の遷移率が変わらなくても理論値は最終の売上1000万円が確保されます。実際は変動させられる各段階で何をしたら(または何かをやめたら)、引き上がるかを検討しながら数値を揃えていきますが、今回はわかりやすく「声掛け」を増やしています。
では、声掛けは、何をしたら増えるでしょうか?
- 声掛けする人数を確保する
- 声掛けマニュアルを準備する
などがあるかもしれません。事実、1時間あたりの接触人数を計算して、限界値を超える場合は、スタッフの増員が必要になります。
これらを計算した時に、目標予算の設定に達しない場合もありますが、この場合はすでに店舗マターではなく、経営マターかもしれません(レイヤーも明確になります)。
施策の実行フェーズに入ると、そこからは「どれだけやりきれるか」が勝敗を分けます。ECサイトとは違い、実店舗は人が介在します。中途半端になってしまう理由は中途半端な目標を立てて、管理している「つもり」になることです。
- 行動回数×質の検討
次の段階へ、なるべく多くの顧客を送りたいのですが、ここで検討するべきは回数と質の両方です。数を確認し、その後に回数を確認、そして質を検討します。
購買まで顧客を進めるのは、次の段階への遷移率で、これは質になります。いくら質が良くても多くの数を進めさせるためには、そもそもの総数も同時に増やす必要があります。したがって、入り口から最後の段階までを見る必要があります。
ポイントは2つあります。ひとつは、お金を使うこと。もう一つは汗をかく(行動)ことです。例えば、集客は主にお金を使う箇所になります。また、人員が足りない場合は、スタッフ配置を増やす必要があります。そして、一人あたりの接客数は、スタッフが汗をかくところです。
接客が嫌がられると言われている昨今ですが、顧客が本当に嫌なのか、インサイトは違うかもしれません。インタビューやアンケートで、実際に拾える生の顧客の声と、本当に思っていることが違うことも少なくありません。実際に当社でも接客の一人売上は正の相関があります。
⑤モニタリング
最後はモニタリングです。このGFAだけではなく、実際はここからまた個人毎のGFAを作成します。各スタッフの行動の積算が、最終的にこの店舗のGFAになります。各個人のGFAを作成し、運用することによって、上長はそのGAPについて具体的に指示やメンタリングが可能になりますし、いきなり「今日の売上は?」ではなく「今日はどのぐらい行動した?」に変えることで、結果ではなく行動にフォーカスできるようになります。