リテールの未来を創造する #03

インバウンド購入客数 前年同期比50%増、ドン・キホーテの決済戦略とインフルエンサー施策

社内説得のために、スマホ決済への調査

 ドン・キホーテが今年2月に発表した2017年7月~12月期連結決算では、インバウンドの購入客数が前年同期比50%増の220万人超え、売上高は同55%増の251億円という好調ぶりを見せている。

 同社は2015年に中国アリババグループのペイメント「Alipay(アリペイ)」を国内でいち早く導入するなど、中国市場への取り組みに力を入れている。

 ドン・キホーテ グローバルデジタルマーケティング責任者の陳超氏は「訪日中国人客に来店してもらう重要なポイントのひとつは利便性。そこで最初に決済のインフラを整備しました」と話す。
 
「WeChatPay」が利用可能であることをアピールするドン・キホーテ店頭。
 中国ではここ数年、「現金を使う」という概念自体が無くなりつつある。その代わりに、人々の生活に浸透してきたのがスマートフォン決済だ。中国ではAlipayとWeChatPayがあれば生活できると言われるほど、この2つの決済方法は中国人にとってなくてはならないものになっている。ドン・キホーテは、Alipayに続いてテンセント社の「WeChatPay(ウィチャットペイ)」を昨年導入している。

 また、決済を単なる利便性向上のインフラとして考えず、「決済シーンを顧客との最も重要なコンタクトポイント。2次接点となる新たな顧客関係性の始まりだと考えています」(陳氏)という。

 だが、最初にAlipayを導入する時は、なかなか社内の了解が得られなかった。そこで陳氏は、訪日中国人客のナマの声を聞くために、中国人3000人を対象にアンケートを実施。結果は、98%がAlipay導入を望んでいたことに加えて、外国人専門の店舗スタッフも95%以上が導入を望んでいた。
 
Alipayが利用できることを伝えるキャンペーン。
 その理由の多くは「お客さまが日本のお札のことがよくわからず現金決済に困っており、自分たちも一人ひとりに教えるために時間がかかっている」という声だった。陳氏はこの2つの結果を経営層に提示し、Alipayの導入は決定した。
 

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