ニュースと体験から読み解くリテール未来像 #42

【展望】コンビニ、スーパー、ドラッグ、2022年の業績はどうなるのか?

前回の記事:
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業態別実績から2022年の小売を展望


 まもなくコロナ禍が2年を経過するという状況となり、それ以前に有効であった「前年比を軸にした企業の好不調の判断」が難しい状況が続きます。こういった状況では前年比だけを軸に考えるとミスリードします。そこで今回は、身近な最寄品小売業の業態別中期実績推移をもとに「2022年推移」と「増加しそうな取り組み」を予測してみます。

 経済産業省の商業統計データをもとに、業態別の年度別推移をグラフ化すると以下のようになります。2021年の結果はまだ出ていませんが、百貨店以外は2020年に比較的近い実績の業態が多いでしょう。
 

 コロナ禍以前の売上は、スーパーマーケットは横ばい、コンビニエンスストアはやや鈍りつつも増加、百貨店は減少傾向、ドラッグストアは右肩上がり、ホームセンターは横ばいという状況でした。

 コロナ禍に突入した2020年のスーパーマーケットは外出自粛・飲食店の営業短縮の流れを受けて大きく伸長、コンビニは初の大きな売上減少、ドラッグストアは相変わらず右肩上がり、百貨店は営業自粛も含めた外出自粛の流れを大きく受けて激減、ホームセンターは「おうち時間」需要の取り込みに成功しました。このうち、売上高上位の3業態について解説します。
 

スーパーマーケット業界の2022年は?

 

 スーパーマーケットの実績は、衣料品が減少して飲食料品が増加するという食品強化戦略が特徴です。この数年はGMSが食品フロアを拡充して、衣料品・住居用品などはテナントを入れるという動きをしていましたので、結果にも出ている形です。2020年はコロナ禍で異常値、2021年もそれに近い各社業績です。
 

 今後を予測すると、新型コロナウイルスワクチン接種完了率が78%を超え(1月5日時点で2回以上)、世界でも3位の日本ですが、自粛継続の慎重派と経済回復の重視派に二分された構造は大きく変わっていないように感じます。したがって、外食需要が完全に元(2019年度以前)に戻るということは2022年中にはないでしょう。

 スーパーマーケット企業は、外部要因で伸びている時こそ店舗設備・システムなどに投資して今後の成長の土台をつくる企業と、この状態の維持をただ願うだけで従来の延長線にとどまる企業に二分されるでしょう。

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