営業とマーケティング、融合の秘訣 #03
営業部門とマーケティング部門の溝を埋める「オペレーショナルマーケター」の動き方【日本KFC 小山典孝】
「DCAPサイクル」の潤滑油を目指す
そして、もうひとつのポイントは、実行した施策が仮に失敗しても、個人の責任にしないことです。マーケティングも営業も、たったひとりでは何も成し遂げることは出来ません。ヒット商品が生まれると「あれは自分がやった」という人が実数の8倍程度出てきます。一方で、失敗したキャンペーンや商品があると、個人の戦績だけで終始してしまいます。この瞬間に、営業とマーケティングに「亀裂」が生じて、その回数が増えた結果として「溝」になっていくのです。
本来、会社は同じ志をもって集まったグループであるべきで、組織は学習しながら育っていくものなのです。一つひとつの組織セル(部や課)が強くても、うまくいきません。
オーケストラに例えると、顧客が聴きたいと思っている楽曲を奏でるための「楽譜(=戦略)」、実際に演じる「演奏者(=従業員)」、模範となる演奏者(=リーダー)、そして「指揮者(=オペレーションマーケター)」を配置していなければ、競合に勝てるわけがないのです。
また、環境の変化に応じて、戦略を変化させ、それに合わせた組織をつくりかえることは必要不可欠ですが、組織を学習させるという観点では、少なくとも3年は同じ組織構造を維持するべきだと思います。
そして、その学習サイクルは、かつてのPDCAサイクルでは、スピードが合わなくなってきています。事前に事業課題についての共通認識を持ち、それらを解決したいというパッションがあるメンバーで構成する組織がある前提で「DO(即実行)→Check(評価)→Adjust(調整)→Plan(企画・計画)→DO(即実行)→Check(評価)に戻る」と継続的に回していくのです。
企画とは理想の案、または案を練ること、新商品やサービスの導入などを指すと考えています。計画とは、具体的な方法や手順を考えたもののことを指します。営業の「Plan」は計画、マーケティングの「Plan」は企画になります。
次回は、「DCAPサイクル」の潤滑油としての「オペレーションマーケターの振る舞い」について紹介します。
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