関西発・地方創生とマーケティング #34後編

マーケティングでもキャリアでも、大切なのはポジショニング【BICP 代表 菅恭一】

前回の記事:
著名マーケティングイベントで3年連続1位を獲れたプレゼン技術とは? 【BICP代表 菅恭一】
 ベストインクラスプロデューサーズ(BICP)の菅恭一さんをご存知でしょうか。マーケティング・コミュニケーション領域でのプロデュース集団の代表を務め、数々の一流企業を支援するなど活躍されていらっしゃいます。前編「なぜ菅さんはそんなにうまくプレゼンができるのか」に続いて、後編では菅さんご自身のキャリアに加えて、なぜそんなにも素晴らしいクライアントに恵まれるのかについて、聞いてみたいと思います。



 

独立することになったのは、マイノリティからの反骨


 菅さんを見ていると、若い頃から起業を目指す、独立心が旺盛な人には見えませんし、今も企業トップとしてのギラギラ感はなく、自然体に見受けられます。そのため、なぜBICPを起業されたのか、不思議に思って聞いてみました。

 菅さんは小学校の頃から周囲に馴染めず、孤立することが多かったそうです。そして社会人になり、朝日広告社に入って配属された先も東京ではなく仙台でした。その後、東京に戻っても当時の主流であるマス広告ではなく、デジタルを担当することになります。ちなみに事務所も本社ビルではなく、少し離れた雑居ビルだったそうです。こうしてみると、菅さんはずっと主流派とは距離を置いた位置にいました。そういう意味では、ずっとマイノリティだったのかもしれません。

 朝日広告社では、従来のマス広告中心の営業組織ではなく、デジタルと戦略が扱えるプロデューサー組織をクライアントに向き合うフロント機能としてスピンオフさせようとしましたが、人材配置や資源の優先度からなかなか合意を得られません。一方で、デジタルに可能性を見出している社外の人と繋がりはじめ、その考えを共有するうちに、菅さんが独立して代表をするなら出資すると言う人が出てきたそうです。そして、しばらく逡巡しているうちに、とうとうその方から「菅さんがやらないなら自分がやる」と言われ、そこでようやく起業を決心します。
 
2015年6月にはじめてオフィスを作った時の風景。席はあるけど、菅さん一人。

 このように、人生において、その時々できちんと自分の頭で考えて、道を切り開いていけば、背中を押してくれたり、応援してくれたりする人が自然と集まってくるのでしょう。そうして総合広告代理店とは違う、またデジタル専門でもない戦略中心のマーケティング支援会社を起業します。これもマイノリティゆえの、反骨心だったのかもしれません。
 

そのポジショニングは真似されないのか


 BICPの立ち位置は、独特だと思います。前職の朝日広告社のような、いわゆる総合広告代理店ではありませんし、サイバーエージェントのようなデジタル専門の広告会社でもありません。違いは、メディアを扱わないことだそうです。その理由について、菅さんは「利幅の大きいメディアを扱うと、会社としてはどうしてもメディアコミッションを稼ぐために広告の売上を上げる戦略を立ててしまうから」とおっしゃいます。

 クライアントは、決して広告を打つことが目的なのではなく、あくまでそれは売上を立てるための手段であって、そこに資金を投入せずに済むのならそれに越したことはないですよね。そういう意味で、クライアントの立場に立てるように、ということだそうです。

 競合について尋ねると、しいて言えば、「マーケティングに強い企業で長らくマーケターとして活躍し、その後、独立されて生まれた企業になるけど、実際には競合していないのではないか」とおっしゃいます。というのは、菅さんご自身に「権威がないからだ」と。教えるのではなく、あくまでクライアントと同じ目線に立って伴走することが強みになるのだと。

 また、組織についてはマンガの「聖闘士星矢」に例えてくれました。自分は決して偉い「教皇」にはならず、組織に「シルバー聖闘士」が多いことが肝で、その中から「ゴールド聖闘士」が出てくるのだと。この先、菅さんに権威が出てくると、ポジショニング戦略がくるってくるのかもしれませんね(笑)。

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