加藤公一レオが教える「ダイレクトマーケティングの最強基礎」 #20

法規制の強化で逮捕者も 「脱・従来型記事広告」でネット広告のコンバージョン率を上げる方法

 

アフィリエイト広告でも広告主の責任が問われる時代に


 違法な表現が散見される「記事広告」が問題視されるようになってからも、しばらくは広告主が責任を追及されることはなかった。

 中には“違法”な表現を含む記事広告を事実上黙認しているD2C(ネット通販)会社もあったが、「アフィリエイターや広告運用会社が勝手に記事を作っているだけで、我われも困っているんです。ウチは関知していません」と言えば逃げることができた。ところが、これからはそうはいかなくなるだろう。

 広告業界に衝撃を与えた、2020年7月の「ステラ漢方事件」が今も記憶に新しい人は多いと思う。このステラ漢方事件において、問題となった記事広告を制作していたのは広告代理店だったが、最終的に広告主であるステラ漢方が広告の内容をチェックしたことから広告主の責任が問われ、広告主と広告代理店の関係者6人が逮捕されるという異例の事態になった。
 

記事広告の問題①:広告主が刺されるリスクがさらに高まっている



 
 この「ステラ漢方事件」は、ネット広告の取り締まり強化のほんの序章にすぎない。この事件においては、広告主が最終的に広告の内容をチェックしたとされているが、今後は広告制作に関与していなくても、広告主が消費者庁に刺されるリスクが高くなってきている。

 記事広告をはじめとした不正なネット広告による消費者被害が続出したことを受け、2021年6月、消費者庁がアフィリエイト広告規制の検討会を立ち上げた。そして2022年1月末には、「外部のアフィリエイターや広告代理店などが制作した広告でも、広告主が責任を負うべきであり、広告主が不当な表示を防ぐよう管理する必要がある」との報告書案を取りまとめた。

 今後、消費者庁は、この報告書案に基づいた指針を作成する方針で、景表法だけでなく消費者安全法などその他の法律とも連携し、悪質な事業者による不正なネット広告に対し、より厳正な対処を行っていくものと見られる。

 つまり、これまでは「アフィリエイターが勝手にやったんです。ウチは知りません」と逃げることができたが、今後はそうはいかなくなる可能性が高いということである。

 こうした状況を踏まえると、2022年以降、アフィリエイト広告、特に記事広告を野放しにすることはD2C(ネット通販)会社にとってリスクでしかない。今後の行政の対応によっては、アフィリエイターが勝手に制作した“違法”なネット広告によって、広告主が逮捕されたり、課徴金を課されたりする可能性もゼロではないからだ。

 実際に、売れるネット広告社のクライアントの中には、こうしたリスクを見越してアフィリエイト広告や記事広告の出稿を完全にやめているクライアントも存在する。

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