加藤公一レオが教える「ダイレクトマーケティングの最強基礎」 #21

成功するD2C(ネット通販)の3つの共通点。失敗する事業者との明確な違いとは?

 

ヒントは「オフライン」にあり




「やずや」「はぴねすくらぶ」「再春館製薬」など、オフラインを中心に伸びてきた通販会社は九州に多く、九州はかつて「通販王国」とも呼ばれた。これらの通販会社には「徹底してCRMがうまい」「無借金経営が多い」という特徴がある。

 赤字でもいきなりテレビCMを打ったり、いきなりブランディング広告を打ったりと、ベンチャーキャピタルが入って過剰な投資をする最近のD2C(ネット通販)企業とは正反対である。しかも、最近のD2C(ネット通販)はCRMがヘタだ。LTVを伸ばすことよりも新規獲得にフォーカスした結果、広告投資を回収できていない企業が非常に多い。

 オフライン発の通販会社がなぜCRMに強いかというと、デジタルに比べて圧倒的にコストのかかるダイレクトメールや同梱ツールといった紙媒体を使ってA/Bテストを繰り返し、最適化してきた歴史があるからだ。

 新興系のD2C(ネット通販)企業は、ネット広告を打てばそれなりに新規が獲得できるし、デジタルでCRMもある程度自動化できるので、新規獲得に意識が向きがちで、CRMへの意識が弱い。

 もちろん、最近のD2C(ネット通販)でも同梱ツールを活用している企業も多いが、中身を見てみると、やはり歴史のある通販会社のほうがうまい。オフラインを中心に伸びてきた通販会社が、「お客様と中長期的に関係構築していく」という通販ビジネスの本質にのっとって、LTVの最大化に愚直に取り組んできた結果である。
 

オフラインの“先人”から学べ!




 オフラインであってもオンラインであっても、「初回申込みをきっかけとして、半永久的にお客様との関係構築をしていく」「1人のお客様により長く・より多く買ってもらうことによって売上・利益を最大化する」という通販ビジネスの本質自体は変わらない。

 したがって、「やずや」をはじめオフライン時代から続いている通販会社から最近のD2C(ネット通販)会社が学べることはたくさんあるはずだ。にもかかわらず、最近のオンラインのマーケターはツールに頼ってばかりで、ダイレクトマーケティングの道を切り拓いてきた“先人”であるオフラインの通販会社から学ぼうとしない。

 ビジネスの本質は同じなのに、なぜかオフラインからオンラインに移行した途端、せっかく築き上げてきたノウハウの分断が起きているのである!それが今のD2C(ネット通販)業界の課題である。

 先に、成功しているD2C(ネット通販)会社の共通点として「①商品にわかりやすい“差別化”要素がある」「②長期的に物事を見るマインドがある」「③資金調達よりも“黒字化”するスキームを作っている」の3つを挙げたが、特に②・③について新興のD2C(ネット通販)企業がオフラインの通販会社から学ぶべきことは多い。

ビジネスの世界でも「歴史から学べ」と言われることは多いが、オフラインの通販会社がとってきた戦略や戦術はまさに「ダイレクトマーケティングの歴史」そのものなのである!
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