ニュースと体験から読み解くリテール未来像 #48

米国マンハッタンの超人気店舗で、レジ待ちが無くなった仕組み「セルフレジを軽視してはならない」

前回の記事:
ファミリーマートの「処方薬」受け取りサービスから、オンライン服薬指導の利便性を考える
 

米国で「セルフレジ」が急拡大


 昨年9月から10月にかけて、米国に小売業の実態を調査に行きました。3年ぶりに米国の小売業を100店舗近く視察しながら、買い物をして感じたことがいくつかあります。最も大きな変化として感じたのは、セルフレジが標準サービスになったことでした。

 米国では、以前からセルフレジ自体は導入されていました。例えば、世界最大のホームセンターであるホームデポ(Home Depot)は、8年前からセルフレジがメインでした。しかし、ウォルマート(Walmart)やターゲット(Target)などのスーパーセンター業態、クローガー(Kroger)やホールフーズ(Whole Foods Market)などの食品スーパーマーケット業態では、日本と同程度の導入比率でした。

 ところが、現在では多くのチェーンストアで、来店客が利用するレジがセルフレジにシフトしています。
  
ホールフーズにAmazon Goの仕組みを導入した店舗 ※2022年10月 撮影:郡司 昇(グンジ ノボル)

 今回の視察では、ロサンゼルス北西部のホールフーズにAmazon Goの「Just Walk Out」テクノロジーが導入されたため見にいきました。米国は州によっては現金決済をできるようにしないといけないなどの規制がありますし、この店舗は既存店を改装して「Just Walk Out」にしたので通常の有人レジもあります。

 「Just Walk Out」と似た仕組みの導入店は日本にもありますが、たいてい有人レジがない専用店舗です。既存店に導入する場合は、こういった配慮も必要でしょう(参考:日本版「Amazon Go」が続々都内にオープン、無人店舗は小売を変えるのか)。

 ここで驚いたのが、この店にもセルフレジが導入されていることです。多くの来店客が普段使っているAmazonアプリでIn-Store codeを表示して入店し、レジレス決済をしている中で、有人レジだけでなく、セルフレジも置くことで、できる限りレジに人員を割かないようにしていました。
  
同店のセルフレジ ※2022年10月 撮影:郡司 昇(グンジ ノボル)

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