関西発・地方創生とマーケティング #37後編

データ偏重のマーケ業界に警鐘。データでは分からない消費者を「笑顔」にする大切なこと【大阪大学大学院 松村真宏 教授】

 

仕掛けの場合、DXは「デラックス」になる


 データの専門家であるがゆえに、その限界も感じている松村さんから、データが万能であるかのような風潮にある現在のマーケティングへのアドバイスをもらいました。

「DX(デジタルトランスフォーメーション)によって、さまざまなことが効率化された結果、楽しかったことも奪ってしまい、人のモチベーションを下げる要因となってしまっていないか」と警鐘を鳴らします。

 そして仕掛けにおいては、効率よりも大事なことがあると、面白い事例を紹介して下さいました。アンケートを集めるとき、一度回収した用紙をレゴブロックでつくった装置に挿入すると、アンケート用紙が紙飛行機の形に織られて飛び出すという仕掛けです。記入してくれた紙を回収して、本来ならそこで作業は終了です。でも、更にそれをレゴブロックでつくった仕掛けに挿入するという非効率なことをします。その結果、この仕掛けの導入前後でアンケートの回収率は40倍以上に増えたそうです。

 つまり、「DX=デジタルトランスフォーメーションで効率化すること」ではなく、一見意味のない「DX=デラックスな仕掛け」によって、結果的に効果を大きくすることができたという事例です。
  
レゴの紙飛行機織機(写真:松村真宏教授提供)

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