関西発・地方創生とマーケティング #37後編

データ偏重のマーケ業界に警鐘。データでは分からない消費者を「笑顔」にする大切なこと【大阪大学大学院 松村真宏 教授】

 

仕掛けは、みんなを笑顔にする


 今までで一番思い出に残っている仕掛けを伺うと、天王寺動物園で自分が仕掛けた、ライオンの口から消毒液が出る仕掛けだそうです。

『ローマの休日』でオードリー・ヘプバーンがライオンの口に手を入れて、嘘をついていると手が抜けないという、あの有名な「真実の口」に似せたものです。手を入れると、消毒液が噴射される仕掛けです。

 はじめはライオンに唾をかけられたのかと驚きますが、すぐに消毒液だと気づき、みんな大笑いします。この仕掛けによって、手指の消毒をする人の数は5倍に増えたので、効果としては一定の評価が得られたようです。

 でも松村さんは効果も重要だけど、「みんなが笑顔になることのほうが良かったし、嬉しかった。仕掛けとはそういうもの」だと言います。このエピソード、とてもいい話だなと思いました。
  
ライオンの口(写真:松村真宏教授提供)

 最後に、読者やマーケターに伝えたいことについて伺いました。「仕掛けは、特別な知識が無くても誰でもできるので、ぜひ挑戦してみてください。そして、たとえば道を歩いていて気になったことがあったら必ず立ち止まって、まずは観察してみてください。そのような出会いは一期一会です。せわしい中でも余裕をもって生活することが、現代のビジネスパーソンやマーケターにとって大切なのではないでしょうか」。
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