ニュースと体験から読み解くリテール未来像 #53
北陸の地場スーパーがすごい。カジマートを見逃してはいけない、これだけの理由
2023/08/03
外観は不統一だが、商品は一級
視察先でいろいろ買ったので、夕飯は食べずにホテルで惣菜類を食べました。「富山県南砺市苗島 大窪さんちのおかわりトマト」を洗ってそのまま食べたところ、普段のトマトとは全く違う美味しさでした。惣菜は冷めていても美味しく品質の高さを感じました。
カジマートに興味を持ったので、検索してみると大正時代から営業している青果物商で、昭和38年からスーパーマーケットであるカジマート(現在5店舗)と百貨店食品テナントの鍛治商店(現在3店舗)を運営していました。長坂店は2020年開店の新しい店でした。
翌日は他の店舗視察をしながら2008年開店のカジマート北安江店と2020年開店の鍛治商店クロスゲート店を視ることにしました。
※カジマート北安江店 2023年6月 撮影:郡司 昇(グンジ ノボル)
さきほどの長坂店と同じチェーンとは思えない外観ですが、12時半頃に到着すると駐車場は満車でした。長坂店より広いため、惣菜と鮮魚の品揃えが数倍でした。店内調理の弁当は5~7種のおかずが入り、店員に声をかけると白飯を詰めてくれる形式ですが、価格は480~580円とリーズナブルでした。惣菜は食の細いご年配のお客様も安心できるサイズで煮物の種類も豊富など、客層が見て取れるものでした。
近隣のアル・プラザ(平和堂)も小容量からの惣菜に注力した人気のスーパーですが、関西の店舗とほとんど同じ揚げ物やサラダ中心の品揃えで、年配者にはカジマートのラインアップのほうが魅力的に映ると感じました。
刺身の品質を文字で表現するのは不可能ですが、高級寿司店でオーダーしたような切り口で鮮度と技術が伺えました。
カジマートは、たまたま見つけた地場スーパーマーケットでしたが、とても気に入ったので帰りの新幹線でもクロスゲート店で購入した巻寿司を食べました。
今回の視察から学んだことは、地場スーパーマーケットの独自性と地域住民への深い理解の重要性です。カジマートは、どこにでもある一般的なスーパーマーケットとは一線を画し、地元の生産者の商品を積極的に取り扱いつつ、大きいとは言えない事業規模であるのにバイヤーが全国の優れた商品を探しに行って、真剣に地域住民にアピールしていました。
地方の小売業の未来は、地域の特性を活かし、生活者のニーズに応えることが欠かせないと実感しました。
- 他の連載記事:
- ニュースと体験から読み解くリテール未来像 の記事一覧
- 1
- 2