関西発・地方創生とマーケティング #38
「八代目儀兵衛とセブン-イレブン」「koyoiとスマドリ」。企業間コラボレーションの極意とは?
商品を売り込むのではなく、顧客の欲しい情報を持っていく
石根 フジテレビ系列のテレビ番組『セブンルール』は、ユニークな女性にフォーカスするドキュメンタリーです。私にフォーカスしていただけたのは、まずは事業をのばす、報酬はメンバーを優先、その先に私の生活が豊かになっていくと創業したときに決めたからなんです。
私の給料は20万円くらいで、服はすべて友人から貰っています。それは、お金や時間というリソースをすべて「koyoi」という事業に注ぎたかったからなんです。そこの部分が、番組の担当ディレクターさんと話していて、すごくおもしろいと興味をもってもらえました。私のユニークさをまず取り上げていただいて、そこから会社全体もユニークですよ、といろいろ説明して特集が決定しました。
能川 番組に出演して、効果はありましたか?
石根 はい。メディアに取り上げていただくことも、やはりターゲットとの相性があるんです。累計250ほどのメディアに取り上げていただいていますが、ターゲットである20~30代の女性層がよく見ているメディアはすごく効果があります。逆にそうでないと、たとえ大きなメディアであってもあまり伸びません。
『セブンルール」の反響はすごくて、すばらしい番組だなとあらためて想いました。そして見ていただいている人がまさに「koyoi」を買っていただきたいターゲットとかなり一致していました。
メディアの特徴をしっかりと掴み、視聴者や読者が欲しい情報を持っていくことが非常に重要です。
メディアの方が興味のありそうな情報をイメージし、その中で私たちがどう課題を解決できるかを伝えるように、常に意識してコミュニケーションしています。
仕事のパフォーマンスは能力・スキル・モチベーションの掛け算
能川 八代目儀兵衛も『カンブリア宮殿』に出演して、すごく効果があったそうですね。
神徳 はい、すごかったです。2020年2月に代表の橋本が出演しました。もちろん、BtoC向けに効果はありましたが、あれを見ていろいろな会社から相談がきました。それこそセブン-イレブンの調達担当の方も、番組を見てくれていました。
能川 では、次に社内でのコミュニケーションについては、どうですか。
神徳 私は2019年10月に八代目儀兵衛に入社して、そこから通販の売上をなんとかV字回復できました。実は2013年をピークに徐々に減っていたんです。
まず力を入れたのは、社員の意識改革です。入社した当時の会社は、言ってしまえば、ワンマン経営でした。それを「組織経営に変えていきましょう」と、権限を現場に移譲して、ボトムアップで取り組んでいく体制に変えました。
能川 神徳さんは、マーケティングの責任者として入られたと思っていたんですが、どういう立ち位置で働かれているのですか?
神徳 戦略やアクションプランなどいろいろ考えますが、結局、いくら考えても実行するのは人なんです。そのため、「人」を変えないといけません。入社当時は、私が前職で経験したほとんどの機能が抜け落ちていたので、まずはそこからやらないといけないと思って取り組みました。
能川 マーケティングの責任者やCMOとして実績を出されている人は、いろんな部署を巻き込んで進めています。神徳さんは、社長から経営まで取り組んでいいよと、お墨付きがあったのですか?
神徳 そのような条件で入社したわけではないのですが、衝突しながらも私が社長と調整して進めました。仕事のパフォーマンスは、能力とスキルとモチベーションの掛け算だと思うんです。能力はそう簡単に上がるものではないですし、スキルも習得するのに時間がかかります。そのため、モチベーションを上げるために、たとえば昇給・昇格・評価制度を構築したり、意思決定フローや会議体を見直したりしました。