ニュースと体験から読み解くリテール未来像 #56

イオンによるツルハ買収:ドラッグストア集約時代、M&Aに積極的な企業とそうでない企業の違い

 

M&Aに積極的なドラッグストアと消極的な企業の違い


 百貨店、総合スーパー(GMS)など異業態と比較すると、大部分の大手ドラッグストアの業績は順調であり、営業赤字の企業もほとんどない状況が続いています。また、食品スーパーマーケットやコンビニエンスストアよりも賞味期限の短い商品の比率が少ないドラッグストアは、地域住民の人口減少が大きい地域において、機会損失を増やさず、コストコントロールがしやすい業態です。
  

 したがって、生き残り手段としてのM&Aが緊急に必要という企業は少ないのです。創業一家が株式の多くを持ち、取締役を務める企業は創業者の遺言ともいうべき、独立自尊の精神が強く、同業他社の傘下に入ることを良しとしません。

 一方、積極的にM&Aをしたい企業は、業界有数の地位を目指す買い手企業と、投資ファンドの株主比率が高い売り手企業です。

 昨年、サンドラッグが、Bain Capital Private Equity, LPが投資助言を行う投資ファンドから、キリン堂HDの株式を所有する株式会社BCJ-47の33.4%の間接持分を取得し、キリン堂HDを持分法適用会社とすると発表した例はその典型です。

 具体的な統合メリットの大小については、後編で記載します。
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