関西発・地方創生とマーケティング #39

採用倍率20倍、“おせっかい”でお客さまを虜にするホテル「Nazuna京都」の裏側

 

従業員が辞めてもまた戻ってきたくなる環境


 ここまでNAZUNAのさまざまなユニークな点を紹介してきましたが、マーケティング視点で整理すると、プロダクトは「従業員」だと言えるでしょう。ターゲットはもちろんのこと、価格設定やOTA施策、SNSにおける見せ方については自分たちで決めることが出来ますが、プロダクトである従業員についてはなかなかそうはいきません。

 一方で、他のホテル事業者は、従業員の勤務体系をあまり重要視していないと言います。たとえば、有名旅館のスタッフは休日も少なく、ある意味おかしな働き方になっているのが現状です。本来そういった無理な働き方では成り立たないものですが、ブランド力があるため人は集まってくるのです。

 ただ、離職率は高く、従業員の出入りが激しくなることはどうしても否めません。その反面、NAZUNAではこの1年の間に1人も辞めていません。基本的には従業員が長く働いていて、中には一度辞めて戻ってきた人もいるほどだそうです。

 さて、今回の取材も渡邊氏がナノベーションの主催するマーケティングのカンファレンスに出席されたことがきっかけで実現しました。いままではホテル関係の人とそういった場で会うことはありませんでしたが、これを機に今後は旧来のホテル事業観に加えて新たな視点をもつ経営者がホテル業界を牽引していく予感がしました。
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