最新ニュースから読み解く、物流とマーケティング #14
前年比400%越えの成長、普段明かされることのない中国通販サイト「SHEIN」衝撃サプライチェーンを大解剖
売上高が前年比400%越えの衝撃
次に、SHEINの売上高推移を見てみよう。2016年に200億円だった売上が5兆8500億円とわずか7年で300倍近くの売上増となっている。特に2019年から2020年の伸びが著しいのがわかる(前年比437.5%)。
SHEINの生産基地は、世界のアパレル工場といわれる中国・広州だ。コロナで世界中のアパレルバイヤーが広州に来なくなったとき、アパレル工場を支えたのがSHEINだった。もしもSHEINがいなかったら、広州のアパレル工場は壊滅的な状況に追い込まれただろう。広州のアパレル工場の社長たちが、「SHEINは広州のアパレル産業の救世主だ」と絶賛するのも頷ける。
発注単位は100着、在庫対応の秀逸さ
筆者の所属するスクロールでも長年、商品在庫への対応は苦労を重ねてきた。売れ筋商品が出現して急いで追加発注をかけるも、受注が落ちて在庫が残ってしまうという問題である。
ところが齊藤さんが広州のアパレル工場の社長にヒアリングしたところ、発注単位が100着ということだった。発注単位が100着で納期が10日、3日間の販売データを見て商品が売れると見込めれば、追加発注が100着で納期は5日に短縮される。SHEINはアパレルの追加発注で欲張ると残在庫で損をすることを熟知しているようだ。
また、ずっと100着単位を正価で売れば、バーゲンで値下げの必要もない。売れ筋商品では100着単位の発注を繰り返し、合計1万着売れた商品もあるとのことだ。アパレル企業の悩みを独自の手法で解決していると言える。