最新ニュースから読み解く、物流とマーケティング #14

前年比400%越えの成長、普段明かされることのない中国通販サイト「SHEIN」衝撃サプライチェーンを大解剖

 

SHEINの取引先メーカーのランク付け


 SHEINが広州のアパレル工場の社長から絶賛される理由がもうひとつある。それが取引先メーカーのランク付システムだ。
 
SHEINの取引先メーカーのランク付(2023年5月広州で齊藤氏が取材し作成)

 SHEINでは、アパレル工場の貢献度で格付けを行っている。取引スタート時はランク3から始まり、支払い基準は1カ月に1回となる。

 そこから「納期遵守、商品の品質」などにより貢献度が評価されると、ランク4に昇格し、支払いが月2回になる。さらに貢献度が評価されると、ランク5に上がり代金は納品した翌週には支払われる。

 これによりアパレル工場のキャッシュフローが劇的によくなる。SHEINとしては、納期が守られ、早く売ることができれば早く支払うこともできる。仕入先をファイナンスでその気にさせるシステムとなっている。

 このシステムが世界標準となると、90日サイトでの支払い条件をしている企業は広州のアパレル企業とは取り引きできなくなる可能性がある。
 

毎日、数千もの新作をリリース


 SHEINのサプライチェーン拠点は広州市番禺区(バンユー)にあり、そこから車で2時間以内に2000社の協力工場がある。協力工場がサプライチェーンの近くに集中することで、商品生産の引き合い、デザインの確認、商品の発注から生地などの原材料の管理、生産工程、納品までのプロセスはSHEINが開発した高度なサプライチェーンシステムで可視化され管理されている。

 そこから生み出される新作モデルは毎日数千にも及びリリースがされている。SHEINのサイトでは常時、数十万に及ぶSKU(Stock Keeping Unit:商品の最小管理単位)が販売されている。

 アパレルビジネスをしている人から見ると、そんなにもたくさんの新作をデザインすることは、にわかに信じがたいと思う。次回は、SHEINの驚異の商品開発の手法を詳しく紹介していく。

※第15回 新商品が3日で3000SKU増える中国通販「SHEIN」、驚異的な投入スピードをどう実現? へ続く

※本編は、著者である齊藤孝浩氏の「図解 アパレルゲームチェンジャー」(日本経済新聞出版)や、その後の齊藤氏の取材へのインタビューを参考に執筆されている。
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