「今だからこそ」ダイレクトマーケティング基礎講座 #06

「越境EC」ではなく、「現地EC」を最終的に目指すべき、と考える理由【ペンシル 倉橋美佳】

越境ECは、どのような種類に分かれる?

 では、越境ECをスタートするにあたり、どのような方法があるのでしょうか。分類してみたいと思います。
 

1、転送サービス

 これが最も簡易的に導入できる仕組みで、通販サイトに該当バナーを貼るだけで越境ECのスタートが可能です。厳密には、企業側がバナーを貼らなくても、ユーザー側が転送サービスを使って購入しているケースもあります。

 転送サービスは、日本国内の配送先住所と電話番号をユーザーに付与し、日本国内の倉庫まで配送した商品を個別に海外発送するサービスです。代理購入をサービスとして展開しているようなものですが、これならば環境に左右されず利用が可能です。しかし、「誰が」「どこで」などのユーザー情報は取得できないため、マーケティングに活かすことは困難です。海外のユーザーを取りこぼさないための対策と言えるでしょう。


2、プラットフォーム

 プラットフォームには、大きく分けてショッピングモール型とアプリ型の2種類があります。プラットフォームに強い中国を例に説明します。
 
  • ショッピングモール型
     中国で最も利用されているBtoCショッピングモールにアリババが運営する「天猫(Tmall)」がありますが、この越境版である「天猫国際」がこちらに該当します。すでに多くのユーザーが利用しているショッピングモールへの出店で販売ルートをつくる方法です。

     越境EC型のショッピングモールへの出店により越境ECをはじめることができますが、こちらも自社出店や代理販売出店など様々な出店方法があります。

  • アプリ型
     アリババなど巨大なプラットフォームに出店すると、自社の製品を売り込もうにも世界中の通販事業者がライバルになります。

     そこで出てきたのが、アプリ型です。例えば、豌豆公主(ワンドウ)という越境ECアプリがありますが、これは「日本製品を越境ECで販売する」ことに特化したアプリです。こういったアプリへの出店(もしくは出品)が、アプリ型の越境ECです。

     アプリをダウンロードしたユーザーは日本製品に興味があり、ある程度セグメントされたターゲットのため、効率的にユーザーにアプローチすることが可能になります。すでに認知度がある商品や販売が見込める商品、また、中国マーケットに関しては、このようなプラットフォームが有効なケースは多いでしょう。
 

3、オウンドメディア

 自社ECサイトでの販売のことで、海外発送に対応したカートシステムがあれば導入できる仕組みです。越境ECでは、多くの場合、日本郵便が提供する国際郵便を使って商品が配送されます。また、海外からの入金は、クレジットカード(デビットカード)決済や、アリペイ・PayPalのような国際送金に対応した仕組みを導入することで実現が可能です。

 現在、様々なカートシステムが開発されており、海外への配送や決済はより容易になりました。自社ECサイトの仕組みであれば、マーケティング情報が取得できて、データ分析なども自由に行うことができるため、日本と同じようなサービスモデルに近づけることも可能でしょう。
 

4、ソーシャルメディア

 最後は、ソーシャルメディア内での販売です。海外ではソーシャルメディアの中で決済と結びつけることが可能になっています。WeChat(中国)やFacebook(東南アジア)などがその例です。ベトナムでは、eコマース取引のうち、Facebook Messengerによる個人売買が4割ほどを占めると言われていますが、このように個人対個人・個人対企業の商売がソーシャルメディアを通じて行われているのです。
 

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