「今だからこそ」ダイレクトマーケティング基礎講座 #06

「越境EC」ではなく、「現地EC」を最終的に目指すべき、と考える理由【ペンシル 倉橋美佳】

越境ECが抱える課題

 さて、このように簡単に越境ECで事業展開することが可能になった現在、どのようなことが課題として挙げられるのでしょうか。
 

1、マーケティング不足

 商品を店頭に並べるだけでは、商品は売れません。マーケティングが必要です。日本のマーケットで蓄積されてきたブランド認知が、海外マーケットではゼロの状態でスタートするわけですから、それなりの覚悟とノウハウ活用が必要だと考えています。しかし、海外施策に十分なマーケティング投資ができず、うまくテスト計画を立てることもできないため、テストがなされていないケースも見受けられます。
 

2、サービスレベルの差異

 日本には様々なサービスを提供する支援企業が多く、多くのサービスは試行錯誤しながら磨かれているので、日本市場向けのサービスは一つひとつ非常に高品質にできています。

 しかしながら、海外では同様にできません。例えば、配送ひとつにしても時間指定ができない・選択肢が少ないなどは当たり前です。また、当日配送が浸透しているエリアのユーザーにとっては、国際郵便で1週間もかけて配送されることに不満を覚える方もいるでしょう。このように各国で同じサービスレベルを目指すことは困難で、求められるサービスも違ってくることを考慮しなくてはなりません。
 

3、体制上の課題

 日本とは文化や商習慣が異なる場所で販売を行うため、顧客対応においては、様々な想定外のことが起こります。すべて販売元に責任があるわけですから、海外の顧客とはいえ、無視するわけにはいきません。

 トラブルや想定外の事態には柔軟で迅速な対応が必要になりますが、いわゆる“日本式の組織体制”のままでは、スピード感・責任範疇に課題が出てくるケースも多くあります。オペレーションルールが定まっていないこともよく見受けられ、担当者が兼任で業務を行うケースも多いため、柔軟な判断・スピーディな対応・現場主義が必要とされるでしょう。
 

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