「今だからこそ」ダイレクトマーケティング基礎講座 #07
メーカー通販の違いって何? DtoCの定義から大事なことが見えてくる【ペンシル 倉橋美佳】
2018/12/03
「DtoC」ってなんだろう?
最近、何かと耳にするようになった「DtoC」について、私なりの解釈を説明したいと思います。DtoCとは、「Direct to Consumer」の略です。
ECサイトにてメーカー直販で販売をするビジネスモデルのことをDtoCといいます。商品を企画製造し、店舗で一切販売をせずに販売する方法です。
一般的な小売販売では、通常、次の図のようにメーカーから卸や小売など間に複数の中間業者が入ります。
それに対して、DtoCは直接販売を行うので、顧客とダイレクトにつながることができます。
以前から日本には、メーカー通販の商品はありました。サントリーウエルネス「セサミン」や再春館製薬所「ドモホルンリンクル」など、通信販売で直接顧客接点を持ち、販売してきました。
では、なぜ急にDtoCが話題になっているのでしょうか。私もいままさに勉強中ではありますが、私なりの解釈で紹介したいと思います。
「DtoC」の定義
DtoCを次のように定義しました。【EC中心で販売しており、ECでしかできないコミュニケーションを組み合わせている】
通販企業の商品はOEMが多く、自社がメーカーであるケースは少ないです。OEMのメリットは、企画開発スピードが速く、市場への商品の導入スピードも速いことがあげられます。一方で自社商品の場合、企画・開発と製品化まで長い期間をかけて商品がつくられます。ですから、企画・開発の段階でいろいろな工夫が生まれるのも特徴だと言えます。
◯製品化前に発売が可能
DtoCとして有名になった「GEMMYO(ジェミオ)」というフランスのアクセサリーブランドの話を聞く機会があったのですが、発売にあたり、最初に製品としての商品はまだなかったそうです。Webサイトに掲載したデザインを少しずつ変更しながら、ユーザーから支持されるデザインを探ったそうです。DtoCだからこそ、ニーズのあるデザインで販売できた、という例かと思います。また、ECサイトでなければ、更新をしながらニーズを探ることもできなかっただろうと思います。
◯ソーシャルメディアの活用
ソーシャルメディアとの連携も特徴のひとつと言えると思います。「Warby Parker(ワービー・パーカー)」はトライアルできるメガネブランドとしてアメリカで有名になりました。日常で使うもので比較的に高価格であるメガネをトライアルしたいというニーズにマッチした事例です。ユーザーは実際に手元に届いた商品を試し、SNSにアップして、家族や友人にアドバイスをもらったり、似合う商品を決めてもらったりするという手順です。この方法は広告費を使うことがなく、認知を広げることに成功しました。
常にソーシャルとつながっている世代だからこそ、一緒に店舗で買い物をするような体験が、通販でも実現ができるようになったのです。
◯ユーザー課題を解決できるシーズ商品
ありそうでなかったものを製品化したものが、DtoC商品にはあると感じています。中間業者がなくなり、またソーシャルの活用することにより莫大な広告費を使うことなくコスト削減が可能になります。結果、高品質なものをコストも安く届けることが可能になります。ただ、ポイントは、単に安いものがよいということではないということです。CSR的な観点もブランド構築につながっています。