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エージェンティック・コマース時代のCX ー キーワードは「フライホイール型CX」「Authenticity」「店舗のブランド体験メディア化」【NRF2026レポート by NODE】
【変化2】AIは体験価値をあくまでブーストする装置。体験価値のコアは、ブランドの“Authenticity”へ
NRFの展示会場では、Googleが大規模なブースを展開し、エージェンティックAIによって変わりつつある「エージェンティック・コマース時代の顧客体験」を、コンセプトではなく、すぐに来る現実として紹介していました。
ブースでのGoogle Geminiデモ上では、「◯◯な用途で、今週末までに届くものが欲しい」といった少し曖昧な要望に対して、複数リテーラーの在庫情報を横断的に参照し、条件に合う商品を提案。そのまま決済まで完了することができました。
検索・比較・検討といったプロセスを分断せず、会話の流れの中でまとめて完結する体験です。何か欲しいと思ってから商品が届くまで。顧客体験は、AIが自然につないでいくものへと変わり始めています。

▶︎機能価値が主戦場のブランドにおける、AIによるCX最適化
——Walmart×Googleのセッションから見えたこと
Walmartはセッション内で、自社の価値を「生活者の日常を、安定して支え続けること」と表現していました。
生活インフラを担うWalmartのような総合リテールにおいて重視されるのは、価格、在庫、配送スピード、品揃えといった機能面での価値です。日々の買い物において生活者が求めているのは、「ワクワクする体験」よりもむしろ、便利であること、失敗しにくいこと。その積み重ねが、日常を安心して任せられる存在かどうかを決めていきます。
その点で、エージェンティック・コマースは非常に相性が良く、価格や在庫、配送条件、購買履歴といった膨大な条件を前提に、顧客に「今いちばん確実な選択肢」を高速で提示できます。
機能価値が主戦場であるからこそ、Walmartのような総合リテールは、エージェンティック・コマースにクイックに適応しながら、利便性を磨き続ける顧客体験を追求していくことになるのではないでしょうか。少なくともWalmart自身は、そうした未来像をかなりクリアに描いているように見えました。

▶︎「あなたの好きそうなものが集まってくる」時代に起きること
エージェンティック・コマースが進んでいくと、生活者が自分で商品を探し回る必要はだんだんと減っていきます。過去の行動や購買履歴をもとに、「これ、たぶん好きですよね?」という提案が届く体験は、これから当たり前になっていくはずです。
一方で、そのときに目の前に並ぶ選択肢は、価格や機能、利便性といった条件を満たした、よく似た商品になりがちです。最適化が進むほど、機能面だけでは違いが見えにくくなるとも言えます。
専門リテールやブランドにとっては、機能や条件に加えて、「このブランドだから選びたい」と思ってもらえる理由を持っているかどうかが、これまで以上に重要になっていきます。
▶︎これからのCXに求められる“Authenticity”
——NODEが注目した視点
NODEは、NRF全体を通して、エージェンティックAIやエージェンティック・コマースの進展に加え、「エージェンティック・コマースが当たり前になった後、顧客体験はどう変わり、どこで差がつくのか」という点に注目していました。
そして現時点では、AIは体験をブーストする装置であり、その上でこれからのCXにおける鍵となるのは、ブランドの「Authenticity(本物、正当性)」になる、つまりブランドの意味そのものの重要性が高まる、と考えています。
印象的だったのが、LVMHのセッションでした。
セッションで繰り返し語られていたのは、「AIはラグジュアリーを効率化するためのものではない」という明確な線引きでした。彼らにとってAIとは、顧客をより深く理解し、ブランドの歴史やクラフツマンシップを正しく伝えるための補助的存在です。LVMHは、テクノロジー投資と同じレベルで、ブランドの語り方や体験の一貫性への投資を重視していました。

米国のアパレル企業 V.F.Corporationのセッションで語られていた、The North FaceやVansの話も象徴的です。
The North Faceは、複雑化していた戦略を、ブランドの起源である「Snow / Climb / Trail」の3カテゴリーに絞り込み、「アスリート」を改めて主役に据えました。その上で、K2登山のような極限環境から裏庭での雪だるま作りまで、プロユースに耐える本格仕様でありながら、それがタウンユースとして着られることも、ブランドとして誇りにしている。この“幅”こそが、The North Faceらしさであり、Authenticityだと語られていました。
Vansのセッションでも、同じ文脈が見られました。
Vansはスケートシューズから始まり、スケートボーディングやBMXなどの文脈でブランド認知を広げ、カジュアルライフスタイルへと広がってきたブランドです。直近では女性にも選ばれる存在へとブランドの存在感を拡張させていく一方で、ブランドとしての起源を示し続けるために、ロック×エクストリーム・スポーツの都市巡回型フェスティバル「Warped Tour」の取り組みを再開しています(編集部注:1995年に初開催し、2019年に一旦終了)。
ビジネス合理性を考えたときにブランドの拡張は必須。ただ、そのたびに「どこから来たブランドなのか」を示し続けること。それが、ブランドと顧客の信頼関係を支えている、というメッセージでした。
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