ニュースと体験から読み解くリテール未来像 #63
日本のコンビニと似ているが異なる ジャカルタ2大ミニマートの"役割の違い"
2026/07/07
インドネシアは、1万7,000を超える島々と世界4位の2億8,100万人規模の人口を抱える、東南アジア最大の経済国です。2024年の実質GDP成長率は5.03%で、個人消費と都市化を背景に中間層市場が厚みを増しています。
首都ジャカルタは、その成長が最も凝縮された都市です。行政区としてのDKIジャカルタだけでなく、周辺のボゴール、デポック、タンゲラン、ブカシまで含む大都市圏として見ると、商業、物流、外食、EC、金融が重なる巨大な生活圏になります。今回の視察も、このジャカルタ都市圏を歩きながら、インドネシア小売の現実を捉え直すものでした。
首都ジャカルタは、その成長が最も凝縮された都市です。行政区としてのDKIジャカルタだけでなく、周辺のボゴール、デポック、タンゲラン、ブカシまで含む大都市圏として見ると、商業、物流、外食、EC、金融が重なる巨大な生活圏になります。今回の視察も、このジャカルタ都市圏を歩きながら、インドネシア小売の現実を捉え直すものでした。
ミニマートがインドネシア小売のカギ
高級モール、日系外食、ビューティ専門店、ローカルスーパー。見たものは多かったのですが、2026年6月にインドネシア小売を自分で体験して、考える入口は意外と地味なところにあると感じました。
それが、Alfamart(アルファマート)とIndomaret(インドマレット)の2大ミニマートです。
今回の視察では、PT. INDONESIA KOSE President Director/Managing Directorの小林祐樹さん、スマイルエックス合同会社 代表の大西理さんにも同行いただきました。
小林さんからは、現地法人の経営全般を担う立場から、インドネシアの流通構造やビューティ市場、現地で商品を広げる際の考え方やインドネシア人の気質等を教えてもらいました。
大西さんとは、ブランド、商業施設、ローカルアパレルの可能性について、現地を歩きながら何度も話しました。
【視察同行者プロフィール:小林祐樹さん】
小林祐樹さん。PT. INDONESIA KOSE President Director/Managing Directorとして、現地法人の経営全般を担っています。インドネシアの現地流通、ビューティ市場、商品設計、H&B・化粧品売場の見方について、今回のジャカルタ視察で多くの示唆をいただきました。

【視察同行者プロフィール:大西理さん】
スマイルエックス合同会社代表。事業会社でEC、デジタルマーケティング、リテール領域に長く携わり、近年はファッション企業を中心にEC・デジタル・DX支援を行っています。日本オムニチャネル協会フェローとしても活動しています。

日本人の感覚で見ると、AlfamartもIndomaretも「コンビニ」に見えます。飲み物、菓子、日用品、簡単な食品が並び、店の大きさも日本のコンビニに近いです。しかし、現地で何店舗か見ていくと、日本のコンビニとは役割がかなり違うことがわかります。
違いは、品揃えや店舗面積だけではありません。日本のコンビニは、全国でほぼ均質な商品、サービス、店舗体験を高い精度で再現する共通フォーマットを持つ業態として発展してきました。もちろん地域差はありますが、基本には「どの店に行っても同じ便利さがある」という標準化の強さがあります。
一方、インドネシアで一般的にミニマートと呼ばれる業態は、標準化だけでは捉えきれません。島が違えば生活環境が違い、地域が違えば民族、言語、宗教、所得、食習慣も変わります。リテールカンファレンス「NRF APAC 2025」でAlfamartのマーケティングディレクター・Ryan Alfons Kaloh氏が語っていたように、インドネシアで店舗網を広げるとは、単に同じ店を大量出店することではありません。多様な地域の生活に合わせながら、日常購買、決済、会員接点、受け取り機能を組み合わせていくことに近いです。
したがって、AlfamartとIndomaretは「インドネシア版コンビニ」と呼ぶより、近隣型の生活インフラを担うミニマートと見たほうが実態に近いです。日本のコンビニが「標準化された便利さ」の完成度で強いとすれば、インドネシアのミニマートは「多様な生活条件を吸収する近さ」に強みがあります。
【注釈:Alfamart】
運営はPT Sumber Alfaria Trijaya Tbkです。インドネシアを代表するミニマートチェーンで、Indomaretと並ぶ2強です。2024年の売上高はRp118.227兆、概算で約1.13兆円。2025年はRp126.73兆、約1.21兆円まで拡大しています。2024年9月時点のグループ店舗数はAlfamart、Alfamidi、Lawson、Dan+Danを含めて2万3,255店規模です。食品・日用品・即食・金融系サービスまで扱う生活インフラ型小売です。

【注釈:Indomaret】
運営はPT Indomarco Prismatamaです。Salim Group系で、Indoritelが40%を保有しています。2024年の総店舗数は2万3,107店、うちフランチャイズ店は6,009店です。2024年の売上高は報道ベースでRp112.80兆、概算で約1.07兆円。店舗数・売上ともAlfamartと拮抗するミニマート2強の一角です。

小林さんから聞いた話で印象に残っているのは、インドネシアの人口規模、若年層の厚さ、経済成長というポテンシャルを活かすなら、ミニマートへの流通が重要になるということでした。特にマス商品では、AlfamartとIndomaretのような日常導線に入れるかどうかが大きな意味を持ちます。
大型モールにも、外資ブランドも日系ブランドも集まりますが、その話は次回以降で扱います。本稿では、インドネシアの数値的な市場ポテンシャルを面で取りにいく前提として、日常の購買接点に入り込むミニマートを軸に整理していきます。




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