ニュースと体験から読み解くリテール未来像 #64
インドネシアのファミマ、ローソンにイートインスペースがある理由
2026/07/09
前回は、AlfamartとIndomaretが日本のコンビニとは別物であり、商品設計や家庭内インフラの前提から見直す必要があることを整理しました。今回は、その2強がなぜ強いのか、日本発コンビニが直面する規制と流通構造から見ていきます。
ファミリーマートとローソンが示す「日本型コンビニ」の難しさ
日本発のコンビニも、インドネシアには進出しています。視察でもファミリーマートやローソンを見ました。ですが、こちらも日本のコンビニそのままではありません。

小林さんの説明で印象的だったのは、外資規制や許認可の関係で、日本発のコンビニが飲食店の許可を取得して出店するケースがあり、その「実態証明」として狭い店舗でもイートインスペースが置かれているという話でした。
【視察同行者プロフィール:小林祐樹さん】
小林祐樹さん。PT. INDONESIA KOSE President Director/Managing Directorとして、現地法人の経営全般を担っています。インドネシアの現地流通、ビューティ市場、商品設計、H&B・化粧品売場の見方について、今回のジャカルタ視察で多くの示唆をいただきました。

この背景には、インドネシアの投資規制(ネガティブリスト)があります。売場面積400㎡未満のミニマーケット(コンビニ相当)は外資参入禁止とされており、100%内資のみ認められています。
一方、飲食業(レストラン・カフェテリア)は外資参入の規制がより緩やかです。そのため、セブン-イレブンやローソンが「小売業」ではなく「レストラン業」として許可申請するケースが生じました。インドネシアの規制当局もこれを問題視し、2012年にはジャカルタ・ポストが「小売業は内資100%義務があるため、飲食業許可で出店したとみられる」と報じています。
この規制の本質は、AlfamartやIndomaretといった内資ミニマート大手を外資競合から守るための保護政策です。
ただし、整理が必要な点があります。「飲食店許可+イートインスペース」という手法の最も典型的な事例は、セブン-イレブン(米国ブランド)です。日本ブランドのローソンは、2011年の進出時からインドネシア内資企業 PT MIDI Utama Indonesia(Alfamidiグループ)との合弁というスキームをとっており、許可取得の構造がセブン-イレブンとは異なります。なお、ローソンは2025年に運営会社 PT Lawson Indonesiaを親会社のAlfamartへ売却し、事実上の地場資本完全運営体制へ移行しました。「飲食店許可による抜け道」はすべての日本系コンビニに一様に当てはまる話ではなく、各社のスキームと時代背景を踏まえて読む必要があります。
現地ではAlfamartでローソンのおでんやローソン商品を見かけた一方、ローソン側でもAlfamart系の商品を見かけました。

これは単純な「提携」というより、Alfamidiグループがローソン運営会社の株式を過半数取得し、運営権を持つようになったことを踏まえて見るべきです。現場では、ローソン単独のブランド展開というより、Alfamart/Alfamidi系の流通網・商品網の中にローソンブランドが組み込まれているように見えました。
ここにも、日本企業が海外に出る際の難しさがあります。日本で強い業態をそのまま持ち込めばよいわけではありません。現地の外資規制、許認可、フランチャイズ構造、既存流通網、生活者の食習慣に合わせて、ブランドの使われ方そのものが変わっていきます。




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