関西発・地方創生とマーケティング #09
「インスタは、浮世絵だ!」 500年続く蔵元「剣菱」が大事にしていること【剣菱酒造 白樫政孝社長】
2019/01/08
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お酒が地方創生に果たす役割
コンテストも、ひとつのプロモーションです。上位にランクインすれば、それだけメディアへの露出も増えて評価も高くなります。上位に入賞するにはコツがあるそうです。それはひとつの評価軸に合わせるということ。しかし、そうすると味が似通ってきて、地域特性がなくなることになります。地域ごとに食と酒の味が違う、そこに行かないと体験できない。だから人は旅に出る。地方が活性化する大切な理由のひとつです。
さらに、もともとは地元の人が楽しむための食と酒で、いつでも気軽に楽しむことができる。いわゆる地元価格なのに、東京資本の有名店が進出してきて地元の人がその店を持ち上げる。そうすると、地元の人のためにやってきた地元の店が、やっていられなくなる。地方が東京を目指すのは果たして良いことなのか。地方が地方を苦しめているのではないか、大切なのは文化を伝えることとだ、と。
そして再度、Productについて。
ひと通りお話を伺って、最後に社長から付け足したいことがある、と。それは、家訓である「止まった時計」についてです。
「止まった時計でいろ」
この「止まった時計」というのは、何もしないということではなく、例えば海の上の同じ場所に漂うためには、何もしなければ流されてしまうように、常に漕ぎ、風を読む必要がある、ということです。
そして、そのために重要なのが酒を造るための道具です。自分たちの商品である、酒の味を変えず、守るために必要な大切な道具である藁縄や木樽をつくる職人を育成する施設が酒蔵の横にあります。昔から変わらない酒の味と、その酒に合う食という文化を守るために投資する、ということです。
そんな文化を大切にする企業だからこそ500年も続いているのではないかと思いました。やはり、長寿ブランドにとって、もっとも大切なのはProductなのでしょう。
さて、皆さんはどう思われますか?
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