リテール・EC
セブン-イレブン・ジャパンのメーカー向け発表会「リテールメディア&データデー」に900人超が参加 ー リテールメディア市場を「1兆円産業」へ
2026/08/10
国内約2万2000店の店舗網と、約1億IDに及ぶ顧客基盤。セブン-イレブン・ジャパンが、この二つの強力なアセットを武器に、リテールメディア事業を次のステージへと押し上げる。9月には、電通、サイバーエージェントとの合弁会社「セブン-イレブン・アドコネクト」が始動。それに先立ち開催された「SEVEN-ELEVEN RETAIL MEDIA & DATA DAY 2026」には、900人を超えるメーカー関係者が集結した。AIと購買データを活用し、店頭を新たなマーケティング基盤へと進化させるとともに、日本のリテールメディア市場の拡大を見据えた戦略が示された。
2万2000店のネットワークと1億IDが切り拓く、リテールメディアの新たな地平
セブン-イレブン・ジャパンは8月5日、新会社「セブン-イレブン・アドコネクト」の事業開始を前に、メーカーを対象にリテールメディア事業の展望を発表するイベント「セブン-イレブン リテールメディア&データデー 2026」を開催した。
新会社は、セブン-イレブン・ジャパン、電通、サイバーエージェントの3社による合弁会社。代表には、セブン-イレブン・ジャパン 新規事業推進室 総括マネジャーの杉浦克樹氏が就く。リテールメディア事業の拡大に加え、日本のリテールメディア市場全体の成長を牽引する役割を担う。
当日は、900人を超えるメーカー関係者が来場。国内2万2000店超の店舗網と膨大な購買データを保有するセブン-イレブンが、それらのアセットとAIを掛け合わせ、BtoB事業を新たな成長エンジンへと育てる構想が示された。
本業で築いたアセットをBtoBへ
冒頭、セブン-イレブン・ジャパン 取締役常務執行役員の榑谷和崇氏は、年間のべ来店客数73億人、1日あたり2000万人という圧倒的な顧客接点を紹介した。「本業で築いてきたアセットを活用し、新たな価値を生み出していきたい。これからはBtoBビジネスにも本格的に挑戦する」(榑谷氏)。
その中核を担うのがリテールメディアである。現在約3700店舗に設置されているデジタルサイネージは、2026年度中に約8700店舗へ拡大する計画だ。
さらに榑谷氏が強調したのは、「ID」の価値である。7月末に発表したソフトバンクやPayPayとの戦略的パートナーシップにより、セブンIDとPayPay IDを統合。約1億ID規模の基盤が構築されることで、購買データをより高度に分析・活用できる環境が整う。
「約1億のIDに基づく購買データを追跡できることは、リテールメディアに大きな効果をもたらす」(榑谷氏)と、データドリブンなリテールメディア活用への自信をのぞかせた。

続いて登壇したリテールメディア推進部 総括マネジャーの大石健司氏は、店舗での実証データを紹介した。デジタルサイネージを設置した店舗では、対象商品の販売金額が未設置店舗より1日平均1343円高いという結果が得られた。「デジタルサイネージは、お客さまが最後に『買おうかどうか』と迷う瞬間を後押しする存在になる」(大石氏)
その効果は売上だけにとどまらない。映像や音声をきっかけに店員への質問が増え、接客機会が生まれることで、加盟店オーナーからは「店舗全体が活気づいた」といったポジティブな声も寄せられているという。
AIが実現する「2万通り」の広告
新会社の代表を務める杉浦氏は、セブン-イレブンが目指すリテールメディアの姿を紹介した。同社が掲げるのは、アプリ、レジ、デジタルサイネージ、外部メディアを連携させる「重層的な広告体験」で、効果を最大化していくことである。
その鍵を握るのがAIだ。過去に実施したコーヒーの施策では、ドライバーの利用が多い店舗、大学近隣の店舗、スタジアム周辺の店舗など、それぞれ異なるクリエイティブを配信し、高い成果を上げた。「本来、2万店舗あれば2万通りの広告があっていい。AIなら、それが実現できる」(杉浦氏)。
さらにAIカメラによる視線分析を活用し、クリエイティブを継続的に最適化する取り組みも進める。「購買につなげるだけでなく、その商品のファンをつくることが重要だ」(杉浦氏)と、販促だけではない、ブランド構築の手段としての可能性を強調した。

イベント後半では、電通とサイバーエージェントを交えたパネルディスカッションを実施した。
サイバーエージェント 常務執行役員の内藤貴仁氏は、リテールメディア最大の価値を「広告効果を可視化できる点」と指摘し、「デジタル広告がリアルの世界に飛び出したときと同じ、あるいはそれ以上のインパクトがある」と期待を寄せた。。
一方、電通 統括執行役員の深田欧介氏は、店舗体験そのものの価値に着目する。「買い物は本来、楽しいもの。店頭で新たな商品と出会うきっかけを増やし、社会全体を元気にしていきたい」(深田氏)。
ディスカッションの最後には、内藤氏が「リテールメディアを1兆円規模の産業へ育てたい」と展望を語り、杉浦氏も「2026年、2027年は日本のリテールメディアにとって大きな転換点になる。広告主の皆さまとともに市場を育てていきたい」と呼びかけ、イベントを締めくくった。
リテールメディアへの注目高まる リテールアジェンダ2026が10月に開催
リテールメディアは、10月28日-29日に都内で開催される、国内外のリテールとメーカーのマーケター、そしてパートナーをつなぎ一気通貫のマーケティングを実現するためのカンファレンス「リテールアジェンダ2026(ナノベーション主催)」でも、重要トピックのひとつとして位置づけられている。
リテールアジェンダ2026 公式サイトはこちら
アプリやデジタルサイネージなど、自社の持つ巨大な顧客接点をメディア化し、新たな収益源とするリテールメディア。いかにしてメーカーのマーケティング予算を獲得し、単なる「広告枠の販売」を超えた価値を提供するのか。顧客にとって有益な情報体験と、透明性のある効果測定(ROAS)を両立させる、次世代リテールメディアの可能性とマネタイズ戦略を紐解くセッションを実施予定だ。
リテールアジェンダ2026開催概要
- 名称
- リテールアジェンダ 2026(RA26)
- 日時
- 2026年10月28日(水)~29日(木)
- 会場
- EBiS303
〒150-0013 東京都渋谷区恵比寿1-20-8 エビススバルビル3階 - 参加者
- 小売70名、メーカー60名、パートナー70名 合計200名
- 参加方法
- リテール枠:無料(事前審査制)
メーカー枠:無料(事前審査制)
プレミアム枠:100,000円(税込み110,000円)
パートナー枠:270,000円(税込み297,000円) - 主催
- 株式会社ナノベーション
- 特別協力
- アジェンダノート(AGENDA note.)




メルマガ登録














